ライフ

『ハレンチ学園』騒動は凄かった 和田アキ子が生放送乱入も

画業50年を突破した永井豪氏

『マジンガーZ』『キューティーハニー』『デビルマン』などで知られる漫画家の永井豪氏。その原点ともいえる作品が1968~1972年に「週刊少年ジャンプ」で連載された『ハレンチ学園』だ。同作は子供たちの間で爆発的ブームを起こす一方、学校のPTAから大きな批判を浴びた。連載開始50年でこのたび小学館から再刊されることになった同作にまつわる秘話を、永井氏がプロインタビュアー・吉田豪氏に明かした。

永井:当時ワイドショーが始まったころで、いろんなワイドショー番組に引っ張り出されたんですよ。出ると、PTAのおじさんおばさんと学校の先生がずらーっと目の前にいるんですね。それに対峙するように座らされて、僕の横でアナウンサーがマイクを向けながら「どうしてこんな漫画を描いたんですか」とかいろいろ言う役で。で、何か言おうとすると、ひな壇からものすごい攻撃的なつるし上げで、「おまえの漫画は公害だ!」とかね。

──公害!

永井:「この漫画を見て育った子どもたちが将来大人になったときみんな性犯罪者になるぞ!」とか「みんな変態になっちゃう!」って、もうめちゃくちゃな理屈で。自分もついこの間まで子どもだったんで、子どもの気持ちはよく覚えてたんですよ。やっぱり小学校の半ばぐらいになったら女の子に興味を持って、ヌード写真の載っている大人の雑誌を探したりしてたから。そういう大人のものを見るより、子どもの漫画の中で少しずつ出していったほうがスムーズに成長できるんだってことで。僕は小学校低学年のときに大人のエロい小説とか読んでましたけど、それよりかわいい漫画で表現してるほうが絶対いいし。

──むしろ性犯罪は減るんじゃないか、と。

永井:うん、そうそう。そんなことを言おうとするんですけど、当時は口下手でうまく言えないし、なんか言いかけるともうぼこぼこぼこっと10倍ぐらい、いろんな人からのつるし上げだけで話が終わっちゃうんですよね。

──そもそもそんなつるし上げにされそうな企画なのに、なんで出演されたんですか?

永井:いや、とにかく説明しようと。それで、ぼこぼこにされても、ぼこぼこにしたほうはそれで毒出しができるから、不買運動も少しおさまるんじゃないかって気持ちもあって。そしたら、ワイドショーの生放送が終わると、PTAのおばさんたちがわあっと取り囲んできて、「もうよっぽどのいやらしい中年男が描いてるんだと思ったら、こんなかわいい坊やが描いてたのね」って言われて。当時僕、23歳ぐらいだったんですけど、よく婦人警官に「中学生でしょ」とか言われて補導されそうになったりするぐらいだったから、「こんな坊やみたいな子が描いてたんだったら応援したのに」とか言うんだよね(笑)。

関連キーワード

関連記事

トピックス

野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
8月20日・神戸市のマンションで女性が刺殺される事件が発生した(右/時事通信フォト)
《神戸市・24歳女性刺殺》「エレベーターの前に血溜まり、女性の靴が片方だけ…」オートロックを突破し数分で逃走、片山恵さん(24)を襲った悲劇の“緊迫の一部始終”
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
決勝の相手は智弁和歌山。奇しくも当時のキャプテンは中谷仁で、現在、母校の監督をしている点でも両者は共通する
1997年夏の甲子園で820球を投げた平安・川口知哉 プロ入り後の不調について「あの夏の代償はまったくなかった。自分に実力がなかっただけ」
週刊ポスト
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン