17世紀のチョコレート(ココア)カップに有田焼が多かったのも驚きだ。長崎・台南・マニラ経由でアカプルコに輸出され植民地スペイン人に届けられたのだ。江戸時代長崎の4つの町空間も興味深い。(1)町人や地役人、(2)長崎奉行と下僚たち、(3)九州各藩蔵屋敷の武士、(4)オランダ人と唐人。
隠れキリシタンから原爆体験まで歴史的教訓と反省を込めた案内も貴重である。この懐の深い町を知る上で信頼できる案内書が出たのは嬉しい。今秋の「くんち」などで長崎を訪れる人だけでなく、すべての日本人に是非読んでほしい本である。
※週刊ポスト2018年8月31日号