芸能

木村拓哉は「かっこいいキムタク」求める声にどう応えたのか

『検察側の罪人』で「覚悟」を見せた木村拓哉

 木村拓哉(45歳)と二宮和也(35歳)の初共演で話題を呼んでいる映画『検察側の罪人』。この作品で木村が見せた覚悟とは? コラムニストのペリー荻野さんが迫る。

 * * *
『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ系・8月21日放送)に木村拓哉と松重豊が出演。映画『検察側の罪人』PRのためだということは十分承知していたが、やっぱり興味深いものがあった。

 スタジオの若手芸人たちにキャーキャーと大騒ぎされる中、登場した2人は、どうふるまうべきか、困惑気味。司会のヒロミと20歳くらいのころ、仕事をしていた木村は、当時、会うたびにヒロミに腹パンチを受けていたというトークでリズムもつかんだものの、木村以外、まったく知り合いがいない松重は、まだまだ困り顔だ。

 そんな中、大の木村拓哉ファンだというインディアンスの木村亮介がドラマの名セリフを言いながら、「髪形までマネしていた」と熱弁をふるうと、なんと拓哉が亮介をハグ。感激した亮介は、「消えてまう~」とメロメロになってしまった。

 その後も、「バルーンで作ったハーレー」にまたがり、『北斗の拳』のキャラクターのセリフを言ったり、芸人たちが作ったギョーザを食べて感想を述べたりと、さまざまなことをした木村拓哉。『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)では、ゲストに料理を作り、おもてなしする側だったが、おもてなしされる側になったのだということが、はっきりした瞬間でもあった。

 加えて木村の場合、おもてなしするより、おもてなしされるほうが、とても難しいのだと、よくわかった。スマスマ時代は、「真剣に料理を作る」「ゲストの得意技でストラックアウト等のゲームをする」「ピンクの着ぐるみでペットのPちゃんになる」など、さまざまなことをしてきたが、それらは全部「トップアイドルが面白いことをする」という立ち位置が決まっていた。しかし、ゲストともなると、芸人側に入り込んで面白すぎるのもどうかと言われ、かといって上から発言をするのも似合わない。松重のように困惑一直線のほうが、見ていてほっとするのである。

 実はそれと同じようなことを、『検察側の罪人』にも感じたのだった。木村演じるエリート検察官最上と、二宮和也演じる若手検察官沖野が、ある事件の捜査について激しく対立する。やがて沖野は、ひとりの容疑者に執着しているかに見える最上に対して疑問を抱き始めるのだ。

 予告編の激しいセリフを応酬だけでも、主演2人の気合が伝わってくる。さらに木村は、全編にわたって、暗くて重い、カッコよさとは別の見たことのない表情をしてみせる。私が知る限り、「見たことのない木村拓哉」は、失明した武士を演じた、山田洋次監督の映画『武士の一分』以来である。

 木村は、40代半ば。誰もが若手ではない自分のあるべき姿に悩む時期ともいえる。だが、木村亮介のごとく、世のファンはこれからも「かっこいい木村拓哉」を求め続ける。「永遠の〇〇」と言われるスターは、そう運命づけられてきた。その求めに応じ続け、なおかつ、新たな表現を探し続ける。誰も分け入ったことのない、微妙なバランスの道に進む木村拓哉の覚悟を、この映画で見た気がする。

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン