国内のSUV市場におけるホンダの存在感が次第に希薄化していく中で、挽回したのが2013年に投入されたコンパクトSUVの「ヴェゼル」。2016年末に同じジャンルでトヨタから「C-HR」が出るまで、「ヴェゼル」はコンパクトSUVの販売で首位を走った。

 CR-Vは2011年に4代目が登場、さらに北米向けは2016年に5代目が発表されたのだが、日本では同年8月をもって姿を消してしまった。それから丸2年の空白期間を経て復活するというわけだ。

 なぜこのタイミングでの発売となったのか。前出の寺谷氏は、「日本では3列仕様車とハイブリッドバージョンの2つが絶対に要る。その開発に時間をかけた」と話す。

 また、商品企画課チーフの安井貴政氏は、「ガソリン車は1.5リットルのターボ車で190馬力。(自動車税などの)維持費は安い割にパワーがあるのは1つの売りになる」と自信を覗かせる。

 価格は1.5リットルのターボ車は2列シート仕様が323万280円(税込)、3列シートの7人乗り仕様は342万1440円(ともにFF)となっている。ちなみに、3列仕様は2列目シートを前に出して3列目と足元空間をシェアし、3列目はリクライニングも可能だ。そのため全長のサイズは2列仕様とまったく変わらない。オプションでなく標準にしている装備が多いとはいえ、この価格と3列仕様で19万円高になることを、果たして消費者はどう受け止めるか。

 価格帯からいって主力顧客層はクルマ好きの50代以上になるのではないかという指摘も多いが、ホンダではヴェゼル同様、CR-Vも購入年齢層にそれほど偏りが出るとは想定していない。

「乗り換え層は、これまでのCR-Vオーナーに加えて、『ステップワゴン』や『オデッセイ』などに乗っている方、特にオデッセイはクルマにこだわりが強いユーザーが多いので、そういう方々には、今回のCR-Vはカッコいいクルマとして、結構響くのではないか」(安井氏)と見立てている。

 ただ、気掛かりな点もある。寺谷氏は、デザイン自由度がミニバンなどに比べて高いSUVは「トレンドに敏感な顧客層が多く、自己主張しやすい」というが、新型の開発責任者である永留髙明氏は、こう語っている。

「販売ボリュームのあるクルマなので、ことさらにとんがる必要はない。究極にストレスフリーな、誰もが乗れる普通のクルマを作りたいという思いで開発した」

 CR-Vは昨年、グローバルで年間76万台を販売(一昨年は72万台)していることや、ファミリーユースも多いことから敢えてデザイン等で冒険はしなかったという表れか。デザインは好き嫌いの個人差もあるので一概に良し悪しは言えないが、“誰もが普通に乗れる”をキーワードにしたというCR-Vは、競合ひしめくミドルからアッパーミドルクラスのSUVの中で、ホンダが強い米国市場などでは支持を集めても、日本では強い特徴や個性がないと受け取られ、埋もれてしまうリスクはあるだろう。

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