今後、崩れ始めるとしたら中古マンション市場からだろう。現に売り急いだ売り主たちは、売却希望価格から1割以上値引きをしてでも成約に持ち込もうとしている。2015年頃に外国人に“爆買い”されたと思われる物件の売りも目立つようになってきた。
そうでなくても不動産業界の周縁はスルガ銀行やTATERUを巡る騒動でキナ臭くなっている。業界関係者の様子を見ていても、以前ほど強気は見られなくなった。
中古市場が崩れても、新築マンションの販売価格は下がらない。高止まりか、わずかながらの上昇もありそうだ。その理由はホテル業者による強気の土地購入が続きそうであり、もう一方の原価である建築コストも下がる気配がない。建設現場はどこも慢性的な人手不足だ。その解消策も見えていない。
そして、中古市場の下落が始まれば新築マンションとの価格差はさらに広まる。当然、今以上に売れなくなる。マンションデベロッパーは新築マンションの開発がさらにやりにくくなるはずだ。
ただし、日本人には新築信仰ともいうべき傾向がある。一部の富裕層は、たとえ中古の2倍以上の価格でも新築マンションを買うだろう。だから、数年後には新築マンションは、一部の富裕な好事家向けに供給される趣味的な商品形態となっているかもしれない。