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高級ホテルとは異質な贅沢 森の中に佇む研究施設の宿

宿泊棟の前には円錐状に盛土された幾何学デザインの庭が広がる

 名建築家の宿に泊まる醍醐味は、外からも内からも建築を味わえること。磯崎新と渡辺真理が手がけたのが兵庫県赤穂郡上郡町の「兵庫県立先端科学技術支援センター」だ。これまで500軒超の名建築宿に泊まった紀行作家の稲葉なおと氏が案内する。

 * * *
 磯崎新が研究室棟を、磯崎新アトリエ出身の渡辺真理が宿泊棟を設計。庭園はアメリカ人ランドスケープデザイナー・元ハーバード大教授のピーター・ウォーカー。「時間とともに成長する森の中の都市」という意図で1993年に竣工した。

 サウナ付き大浴場や現代的な庭園もあり、特別室(スイートルーム)でも2名利用で1人1泊5500円から泊まれる。天井も高く広々とした客室で寛ぐひと時は、高級ホテルとは異質な贅沢な気分に浸れる。

『兵庫県立先端科学技術支援センター』
・住所:兵庫県赤穂郡上郡町光都3-1-1
・チェックイン16時/チェックアウト10時
・料金:シングル利用でひとり4500円、ツイン2名利用でひとり4000円(税・サ込)

◆撮影・文/稲葉なおと

【プロフィール】いなば・なおと/紀行作家・写真家。1959年生まれ。東京工業大学建築学科卒。長編旅行記『遠い宮殿』でJTB紀行文学大賞奨励賞受賞。『0マイル』『まだ見ぬホテルへ』『匠たちの名旅館』『モデルルームをじっくり見る人ほど「欠陥マンション」をつかみやすい』など著書多数。11月5日に学士会館(東京・千代田区)にて講演「『建築家の宿』の知られざる物語」開催。

※週刊ポスト2018年10月5日号

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