スポーツ

なぜ日本のバドミントンは世界の強豪国になったのか

世界ランク1位の福島由紀(右)と広田彩花(時事通信フォト)

 いつの間に、こんなに強くなっていたのか。世界選手権での優勝や、アジア大会での団体金など、バドミントン、とくに女子ダブルスの強さに驚かされている人は多いのではないか。日本のバドミントンが世界の強豪国になりつつあるその背景について、ライターの小野哲史氏がレポートする。

 * * *
 今、バドミントンの国際大会における日本勢の活躍が目覚ましい。

 8月のインドネシア・ジャカルタでのアジア競技大会では、女子団体で日本チームが大会5連覇中だった最強・中国を破って48年ぶりの優勝を手にした。その約3週間前に地元開催となった世界選手権で、日本勢の凄まじいまでの興隆を目の当たりにした中国は、地元紙が次のような主旨の記事を報じたという。

「現在、バドミントン界は群雄割拠の状態。ライバルは日本だけではないが、東京オリンピックをホームで迎える日本は今後、さらに強くなるだろう。日本を研究し攻略することが、これからの中国ナショナルチームの主要な務めの一つになる」

 男子シングルスで桃田賢斗(NTT東日本)が今年の世界選手権を制し、女子シングルスでもリオデジャネイロオリンピック銅メダリストの奥原希望(日本ユニシス)や、4月に日本人選手として男女を通じて初めて世界ランキング1位になった山口茜(再春館製薬所)が国際舞台で奮闘している。男子ダブルスでは、園田啓悟・嘉村健士組(トナミ運輸)が世界選手権で2大会連続メダルとなる銀メダルを獲得した。

 そうした中で有力選手がひしめき、活況を呈しているのが、分厚い選手層を誇る女子ダブルスである。2年前のリオデジャネイロオリンピックで、「タカマツ」ペアこと、高橋礼華・松友美佐紀組(日本ユニシス)が決勝戦で大逆転の末に金メダルに輝いたのは記憶に新しい。今年の世界選手権では、日本勢4番手のポジションにいた初出場の永原和可那・松本麻佑組(北都銀行)が3回戦でタカマツペアを下し、勢いそのままに決勝では世界ランキング1位の福島由紀・広田彩花組(フクヒロ/岐阜トリッキーパンダース)を破って優勝。3位にも米元小春・田中志穂組(北都銀行)が入り、日本勢が金銀銅メダルを獲得する快挙を成し遂げた。

 9月20日時点の世界ランキングでは、1位のフクヒロペアを筆頭に、4位タカマツ、5位米元・田中、6位永原・松本、10位髙畑祐紀子・櫻本絢子(ヨネックス)と、10位までの実に半数を日本ペアが占めている。一体なぜ、これほどまでに強くなったのか。

 日本の黄金時代の到来とも言えるこうした盛況は、一朝一夕で形成されたものでも、偶然の産物でもない。近年の日本隆盛の礎を築いたのは、2004年11月にナショナルチームのヘッドコーチに就任した朴柱奉(パク・ジュボン)氏だと言われる。バドミントン関係者やファンの間では、よく知られた話だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン