ビジネス

鉄道車両の画一化が進む一方で古い車両が再評価の流れも

都電荒川線7700形は昭和をイメージしたクラシックモダン調

 地方へ行くと、古い鉄道車両が大切に今でも使用されていることが少なくない。かつて、そういったクラシックな車両を鉄道友の会が表彰する「エバーグリーン賞」という制度が存在した。どんな目的で設置され、なぜ廃止されたのか。ライターの小川裕夫氏が、同賞と、いま新たな意味を持ちつつある古い車両の意義についてレポートする。

 * * *
 かつての鉄道車両は、メーカーや運行する地域によって性能はもとより外観などバラエティに富んでいたと言われる。一方、最近の鉄道車両は個性が消失し、往年のファンから「旅をしていても、みんな同じような車両ばかりで面白味に欠ける」と評する声も耳にする。

 そうした声には、少なからず懐古主義的な思いが含まれている。しかし、以前に比べれば鉄道車両の画一化が進んでいることは確かだ。

 鉄道車両の画一化が進んだ理由は、高度経済成長期に都市圏で輸送量が増大して車両を量産化しなければならなかったこと、どこの路線でも走れる方が効率的な運用ができることなどが挙げられる。

 また、鉄道車両に盛り込まれる技術が高度化したことも車両の画一化に拍車をかけた一因でもある。

 技術が高度化すれば、当然ながら開発費や製造費は膨れ上がる。しかし、日本の人口は減少傾向にあり、地方鉄道は特に利用者減が顕著。採算面で先行きが明るいとは言えない。そうした財政的な事情もあって、鉄道車両メーカー間では技術の標準化が進んだといわれる。

 例えば、2017年に山手線に登場したE235系は、JR東日本と鉄道車両メーカーが総力を挙げて開発した。E235系の外観は、それまでの常識を覆した斬新なデザインだと言われる。特に、顔の部分はこれまでの常識を打ち破るような大胆なデザインだったので話題になった。これまでE235系は山手線にしか走っていなかったので、斬新なE235系の顔は、山手線の顔として定着した。

 ところが、9月4日にJR東日本はE235系の新造を発表。新たに製造されるE235系は、2020年度から総武線快速・横須賀線でも運行する予定とされた。また、E235系は総武線快速と直通運転をしている外房線や内房線、成田線、鹿島線にも乗り入れる。つまり、これまで山手線の電車だったE235系は、今後は山手線だけの電車ではなくなる。

 技術の高度化によって車両の画一化が進む一方、独自の車両を用いて観光需要を掘り起こそうとする動きもあった。

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン