2つ目が金融サービス分野だ。この10月15日、セブン銀行に続いてコンビニでは2行目となるローソン銀行がスタートしたが、ファミマは今後どう出るか。親会社である伊藤忠商事の岡藤正広会長兼CEOは社長時代、「セブンさんに比べてファミマは金融事業が弱い。先方はグループにセブン銀行があって高い収益を上げている」と語り、金融回りの事業再構築の必要性を唱えていた。
もちろん、ファミマにも従来からATM(現金自動預け払い機)はある。だが、これは提携銀行との共同運営によるもので、消費者がATMを利用した際に入る手数料は、自前の銀行を持っている場合よりも少ないし、自前銀行で口座を持てれば派生する金融サービスも広げやすい。目下ファミマでは、ゆうちょ銀行の小型ATMも導入している途上だが、この縁でゆうちょ銀行と何らかの形で新たにタッグを組む可能性はあるかもしれない。
今後金融サービス面で焦点になる存在が、昨秋立ち上げたUFIフューテック(※注)だ。同社独自のポイントカードや電子マネーを含む金融事業などの戦略を練っている。ファミマは提携先のTポイントカードから自前の電子マネーに切り替えたいだろうし、ドンキの電子マネー、majica(マジカ)との連携も考えられる。
※注/前身は2000年に設立したファミマ・ドット・コム。伊藤忠が27.67%、ユニー・ファミリーマートHDが72.33%出資している。
同社の社長を務める塚本直吉氏はファミリーマート取締役システム本部長で、ユニー・ファミリーマートHDでも役員を務めてCIO(最高情報責任者)、IT推進本部長、CVSシステム部長、次世代プロジェクト室長の重要4ポストも兼務。同氏はもともとサークルKサンクス出身でファミマに転じた人物だが、高柳社長は「年内には新しい金融サービスも発表したい」としていたことから、ファミマの金融面での新戦略も近く、明らかになりそうだ。
とはいえ、コンビニ事業の本筋である物販面が、より太い幹になってこそ、金融サービスなどの非物販事業も活きてくる。そう考えれば、今後の商品力が注目点の3つ目といえる。