ビジネス

コンビニ専念のファミリーマートに待ち受ける「3つの課題」

ドンキにユニーを売却した高柳浩二・ファミリーマートHD社長(右)

 こうした状況を受けて、ユニー・ファミリーマートHDの高柳浩二社長は、「客単価は堅調だが客数が少し減っている。コンビニはそろそろ飽和かなと思う」とやや弱気な発言をした。客数減少はファミマに限ったことではなく、定価販売が基本のコンビニ業界全体が、食品の構成比を高めるドラッグストアチェーン、あるいはディスカウントストアに押されている要因もある。

 これで来秋、消費税が8%から10%に増税されれば消費者の財布の紐はますます固くなり、近所にコンビニがあって便利でも、安価な商品を求めてスーパーやドラッグストア、ディスカウントストアのほうへ足を延ばす消費者が増え、コンビニはほかの小売業以上に苦戦することも考えられる。

 さらに、コンビニはどのチェーンも近年、イートインスペースを拡大することで外食企業からも客を奪う勢いを見せてきた。が、これも消費税増税時の軽減税率が適用された場合、テイクアウトで8%課税のままななら問題ないが、たとえばおにぎり3個買って2個は持ち帰り、1個は店内飲食といったケースもあり得る。となると、ただでさえ人手不足のレジスタッフも負荷が一段と増え、新システム構築にも手間暇とお金がかかってくるだけに、コンビニには悩ましい。

 そんな中、ファミマには注目点が3つある。

 1つは、今年6月に3店舗開店(東京都立川市、目黒区、世田谷区)した、ドン・キホーテ流のうず高く商品を積み上げる「圧縮陳列」を導入したコラボ店舗の導入だ。8月までの3か月実績では、3店舗平均の日販が前年比で30%増、同客数も10%増になったという。

 ただし、だからといってファミマとドンキのコラボ店を一気に多店舗化、というわけにはいかない事情もある。コンビニはフランチャイズの運営が基本で、ドンキ流の商品仕入れや値付けとは大きく異なるからだ。ゆえに、前述の3店舗もフランチャイズでなく、すべて運営の自由度が高いファミマの直営店舗である。

 ファミマの直営店舗数は、昨年8月末で355店、今年8月末が297店、来年2月末の計画で274店と縮小傾向にあり、仮に直営店の多くがドンキとのコラボ店になったとしても、全体の店舗数から見れば微々たるものだ。

 だからか、高柳社長も「コラボ店の実験はしているがハードルは高い。今後は売れ筋商品の見極めや選定、店舗オペレーションの仕方で活かすことがあればフランチャイズ店にも活用していきたい」と語るにとどめた。また、ファミマとドラッグストア併設店のように、ファミマとドンキ併設店も考えられるが、この点も「それは狙っているが、大きめの店舗面積が必要で、サイズ的に合う店舗物件は少ない」(同)という。

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン