しかし、少子化問題や人口減少を安全保障と同じく「日本4.0」の最大の問題だと考える国民は、どのくらいいるのだろうか。子どもがいなければ納税者もいなくなり、そもそも安全保障の論議など何の意味もない。国がなくなるからだ。
スウェーデン、フランス、イスラエル並みの高水準の子どもケアシステムを作らないと、高齢化して近視眼的に老人の権利を声高に主張する思考にも陥りやすい。妊婦に必要な出産費用、託児所などの無料化を図るべきだと考える著者の主張は説得力に富んでいる。
団塊の世代以上の老人たちも「日本4.0」で自分の立つべき位置を考えることも大事ではないだろうか。
※週刊ポスト2018年11月2日号