「まず丁寧に原因を探ってみてください。専門医を受診する、生活習慣を見直す。そして立ち上がって動き出しやすい高さの椅子や移動しやすい手すりの設置、居室をトイレの近くにするなど、工夫できることはいろいろあります」
手すりの設置などは、介護保険を使った福祉用具を利用するのもお勧めだ。福祉用具専門相談員なら、家族が気づきにくい提案もしてくれる。
原因をしっかり見極めたら、いよいよその対策だ。やはり、下着や服が汚れるのは本人も不快だし、周りの目も気になる。そしてトイレに間に合えばよいが、いつもれて失敗するか、不安がつきまとうことが、高齢者にとって、何より大きなストレスだといわれる。
「尿もれは高齢者本人も悩んでいます。家族にも言えず、生理用品やティッシュペーパーで代用するという話も聞きますが、大切なのは尿専用品を使うこと。生理用品では尿が吸収されにくく、ベタベタして不快なうえ、肌がかぶれたりすることもあるからです。今は尿失禁用のケア用品が数多く出ています。交換がしやすいパッドタイプのものや、動きやすいパンツタイプがあり、体の機能やもれてしまう尿の量によって使いやすいものを選ぶとよいでしょう」
問題はこういった用品の提案の仕方。親の抵抗感もわかるだけに難しいところだ。
「パンツタイプのものは薄くておしゃれに響かないものが増えていますし、パッドタイプの薄いものは生理用品のようにコンパクト。おそらく親世代が思っている以上に使い勝手がよいはずです。
子世代も、尿もれが始まってもおかしくない中年ですから、失禁対策という押し付けではなく“一緒に使ってみない?”と、新しいものに挑戦する提案をしてみては? ちなみに講演会で男性聴講者に伺うと、もちろん尿もれのお悩みがありますが、尿ケア用品への関心が高く、情報収集にも積極的な様子。男性の場合は排尿の仕方に個人差がかなりあり、パッドタイプかパンツタイプか、その習慣に違和感のないケア用品選びが大切です。昔は失禁の悩みなど男は絶対に口にしないというイメージでしたが、これからの超高齢社会は意外にも明るいかもしれませんね(笑い)」
浜田さん主宰「むつき庵」(京都)と全国26か所の「ミニむつき庵」では排泄ケアの情報発信のほか、小さなパッドから大きなおむつまで、ケア用品の紹介や当て方のコツなども伝授してくれる。
※女性セブン2018年11月8日号