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現在の大金持ち、特徴は資産額の増加 所得格差は広がる傾向

新しい富裕層の代表格といわれる前澤氏(時事通信フォト)

 世界中が注目する美術品オークションでバスキアの作品を123億円で落札し、バイオリンの最高傑作といわれる10億円超のストラディバリウスを購入する。いつも若くてキレイな女優を隣に連れ、ロケットに乗って世界初の月旅行へ──。

 今、世界が注目する日本人社長、それは株式会社ZOZOの前澤友作社長(42才)だ。『お金持ちの行動学』(宝島社)の著者で京都女子大学客員教授の橘木俊詔さんは、「前澤さんは新しい富裕層の代表格です」と指摘する。

「昔のお金持ちは自分がどれだけ資産を持っているかを人に知られたくないと思っていましたが、前澤さんら新しい富裕層は『おれは金持ちだぜ!』と屈託なく発信する。彼らはものすごく稼いだ分、派手にお金を使いまくることに何の躊躇もありません」

 雑誌フォーブス・ジャパンの「日本長者番付2018」によると、前澤氏の資産は2830億円で国内18位。ちなみに1位はソフトバンクの孫正義氏(2兆2930億円)、2位はファーストリテイリングの柳井正氏(2兆210億円)という日本経済界の大御所ツートップ。いずれも企業の“顔”であり、表舞台で積極的に活躍している。

 そもそも近代になってからの日本の富裕層は、三井、三菱など大財閥のオーナーとその一族、それと大土地の所有者だった。

「戦前までの日本は一握りのお金持ちがものすごく高い所得を得る“超格差社会”でした」(橘木さん)

 戦後になるとGHQによる財閥解体と農地改革が進み、大資産保有者がいなくなったことで、戦前とは違って平等性の高い国になった。

 そうした中でのし上がったのが「創業経営者」だ。

「戦後に大富豪になったほとんどの人は、自分で事業を興して成功した創業経営者。自分で自分の報酬を決められることに加えて、自社株の配当や売却益で大儲けできることがその背景にあります。逆に言えば、サラリーマン社長や会社の重役は大富豪になりにくい世の中です」(橘木さん)

 現代の大金持ちの特徴は、「資産額」の増加にある。

「昔と比べて、お金持ちの所得や資産は格段に増えました。昔はせいぜい5億~10億円の資産でしたが、今は100億円という人も多い。戦後は落ち着いた所得格差も、最近になって広がる傾向にあります」(橘木さん)

 前述の通り、長者番付ツートップの孫氏と柳井氏は共に資産が2兆円を超え、番付ベスト50の人々の資産はいずれも1000億円を上回る。

 こうした傾向を後押しするのがIT社会の登場だ。富裕層に詳しいLUFTメディアコミュニケーション取締役の小林昇太郎さんが話す。

「これまでは物理的な距離やヒト・モノ・カネの制約がありましたが、ITの発達により、アイディアさえあれば資金が少なくてもビジネスを立ち上げることが容易になり、短時間で効率よく利益を上げられるようになりました。

 デジタル環境が整ったことで、これまでの製造業やサービス業などとは異なる自由なビジネスが可能になったことが、全国に新しい富裕層を次々と生み出すことにつながっているのです」

 IT社会を背景に登場したのが楽天の三木谷浩史氏(53才)やサイバーエージェントの藤田晋氏(45才)、ZOZOの前澤氏ら、新しい富裕層にほかならない。

※女性セブン2018年11月15日号

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