フリーライターの鈴木智彦氏
溝口:祭りに関して町の声で最も大きいのは、「町内会や自治会のおばさんがつくった焼きそばは食いたくない、テキ屋がつくるものとは味が違う」と。テキ屋が出ることによって祭りの雰囲気が出てくるとみんな思っている。
それと最近、焼きそばやたこ焼きとかを“粉もの”と言いますよね。あれはもともと、見てくれのわりに原価はものすごく安いということで、テキ屋用語の一種だったんじゃないか。それが今や一般的に使われるようになった。
鈴木:確かにそうですね。あと原価が安いといえば、溝口さんが指摘してきた“山口組と水”の関係に触れないわけにはいかない。
溝口:六代目山口組が、直系組長にミネラルウォーターを半ば強制的に買わせているんですよね。もともとは互助会的に刑務所に行っている組員の家族にカネを渡すためのものだったらしいけど。500ミリリットルで1ケース24本、1本あたり130円で売る。今ケース買いなら原価は1本30円程度ですから、とてつもない儲けになる。
買わされた二次団体も、それを転売したり傘下団体に売りつけたところで儲けが出るわけないから、事務所にどんどんケースが積み上がっていく。
鈴木:よく見ましたよね、その光景。
溝口:近所に配ったりしても余ってしまうそうです。