鈴木:他にもコーヒーとか歯ブラシとか洗剤とか、日用品を買わせるのは結構あるんですよね。そのなかでもっとも原価率が低く利益が上がるのが水でしょうね。
溝口:2015年8月の分裂前にはカネのある組は月に1000万円分くらい買っていた。上納金と別にですよ。山口組が分裂した背景には、このことへの反発もあったんです。
山口組の事務所に置かれる水とは違って、ヤクザが関与するサカナの密漁品は当たり前のように消費者の口に入っているわけですよね。
鈴木:私は築地市場の仲卸業者で4か月働きましたが、そこの役員も「密漁アワビは築地で売られている」と認めていた。豊洲市場もそこは「業者に任せている」というだけで、結局市場ぐるみとしかいいようがない。
溝口:ヤクザが密漁にかかわって、業者もそれに加担して、それが築地、今は豊洲を通じて流通する。一般消費者も結果的にヤクザ産業を支えている。しかもそれがなくては中央卸売市場が成り立たない規模だというのだから、驚きました。しかし、消費者の根底にあるのは、密漁品でも食べたら同じという感覚でしょう。
鈴木:その通りだと思います。消費者がサカナを求め続ける限り、密漁もヤクザの関与もなくならないんです。
※週刊ポスト2018年11月9日号