芸能

『ポツンと一軒家』取材対象者が感じたスタッフの“熱さ”

『ポツンと一軒家』なぜ面白いのか(画像提供/ABCテレビ)

 山深い道、ガードレールのない崖っぷちを、男たちを乗せた車が走る。久しぶりに人の気配が感じられる場所に出ると、農作業をしている人の姿が! 男たちはすかさず車から降りて、「すみませ~ん!」と声をかける。そうした“聞き込み”を何回も何回も繰り返してやっとたどり着いた一軒家には…!? 検索すれば何でも出てくる時代にあって、筋書きなし、予測不能の探索バラエティー『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系、毎週日曜夜7時58分~)が話題となっている──。

「誰!? 何!? どういうこと!?」。静岡県浜松市の山奥で暮らす竹細工職人・鈴木げんさん(43才)は、玄関の開き戸を開けた瞬間、何が起きているのか理解できなかった。

「あの日は部屋の掃除をしていたんです。そうしたら玄関から『こんにちは~』って声が聞こえる。午前中から誰だろう、と。不思議に思って見に行くと、黒いポロシャツを着てひげを生やした若いお兄ちゃんが立っている。隣ではカメラを持った人もいるし、ただただもうびっくりですよ(笑い)」

 Google Earthの衛星写真からポツンと建っている一軒家を探し出し、その家をひたすら目指すという『ポツンと一軒家』。事前調査は行わず、とりあえず現地に撮影クルーを送り込むのが、番組のポリシーなのだという。

 竹細工職人・鈴木さんは、3年前から築130年、25畳の和室がある古民家にひとり移り住み、竹のかばんを作っている。加工するときに火を使うので、隣人の迷惑にならないようにと探して見つけたのが、竹も採取できる山奥の一軒家だった。鈴木さんは、突然のアポなし訪問に驚いたものの、すぐにスタッフと打ち解けたと笑みを浮かべる。

「直感的に『悪い人たちじゃなさそう』と思ったんです。それに、取材を受けるうちに、スタッフのみなさんの“熱さ”がしっかり伝わってきた。特にカメラマンのかたから技術や仕事の話を聞いているうちに、『あ、職人なんだ』と気づいた。カメラと竹、扱うものは違うけれど職人同士、心が通じるところがありました」(鈴木さん)

 しかし、現場に行っても、鈴木さんのように「人」が住んでいることは珍しい。10軒連続で空き家に当たってしまい、迫り来るオンエア日に冷や汗を流しながらロケを続けることもザラだ。

 だからこそ、スタッフにとっては、すべての放送回が思い出深い。だがあえて、「印象深かった放送回」を選んでほしいと番組プロデューサーの植田貴之さんに頼んでみた。

「強いて挙げるなら、今年1月に放映された『桜』の回でしょうか。長野県北安曇郡にある桜並木『花めぐり桜街道』の先に住み、ご自身の土地に4000本の桜を植えた男性の話です。10回の手術を受けて『余命半年だ』と言われても、明るく前向きに桜を植え続けていたら、余命を通り越して元気になった、というお話をうかがってオンエアしたんです。当時は冬だったので、その後桜が咲く頃、改めてスタッフが自宅にうかがうと、番組を見た人がたくさん桜を見に来ていました。本人もお元気で、その姿を見て『おじいちゃんに会って話したかった、会えてよかった』と泣き出す人までいたんです」(植田さん)

 鈴木さんも番組の影響力を痛感したと言う。

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン