人工肛門はこのように装着する

 ストーマを経由して便を出す「人工肛門」もある。

「大腸がんや直腸がんなどで、発生場所が肛門に近く、肛門ごと切り取らざるを得ない場合に人工肛門を造設します。潰瘍性大腸炎などの手術のため、一時的に造設する場合もあります。

 人工膀胱、人工肛門とも“人工”とつくから何か大げさな機械を取り付けるイメージを持つ人も多いですが、実際は違います」(同前)

 腹部に開けた穴から腸などを引っ張り出し、皮膚の外に縫い付ける。ストーマは皮膚に梅干しのような赤い突起が飛び出している状態で、その先に尿や便を溜めるパウチを装着する。人工肛門も、意思とは関係なく便がパウチに排出される。

◆尿意がないから熟睡できた

 人工膀胱や人工肛門を装着する人は医療用語で「オストメイト」と呼ばれ、全国に約20万人いる。

 大腸がんの患者数は増加傾向にあり、2015年に胃がんを抜いて1位になった。9月15日に国立がん研究センターが発表した2018年の予測値でも、男女合わせて約15万2000人でトップ。また、膀胱がんは患者数自体は2万人程度だが、60歳以降の男性に急増する傾向がある。今後オストメイトはさらに増えると予想される。

 その生活はどう変わるのか。千葉県に住む山田茂夫さん(仮名、74歳)は、61歳の時に膀胱がんと診断され、全摘出した。

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