「初めはパウチの接合が甘くて“尿漏れ”することに苦労しました。実際に外で漏れて服を汚してしまったことも何度かあります。外出する際、常に予備のパウチと携帯用の消臭剤を持っていました。ジーパンや薄い色のズボンは濡れると目立つので、今でも黒っぽいズボンしか穿きません」
パウチと皮膚の接合部がかぶれたりただれることも起きやすい。数時間ごとに中身を捨てるが、パウチ自体は3日ほど使うのが普通。交換の際に保湿クリームを塗るなどしてケアを行なう。
「私の場合、食生活も変わっていませんし、お酒も飲んでいます。温泉にも行きますし、スポーツジムに通ってランニングもしていますよ。温泉やジムのシャワーなど他人の目に触れる時用に“中身”が見えない肌色タイプのパウチや、掌に隠せる小型のものもあります。日常生活に大きな制約が生じると誤解している方もいるようですが、私は至って普通です。尿意がなくなったので、むしろ以前より熟睡できるようになったほどです」(同前)
◆「防臭機能」もついている
高野祐平さん(仮名、70歳)は、2015年前に末期の直腸がんと診断され、人工肛門を作った。
「へその右横のストーマを初めて見たときはショックでした。下痢のような水溶性の便が出る光景にも慣れるまで時間がかかりました」
腸そのものが体外に出ている事実と、「トイレに行く」というそれまでの習慣とのギャップに精神的な負担を覚える人も多いという。