日本の高齢者(65歳以上)人口は3461万人、総人口に占める割合は27.3%で、およそ日本人の4人に1人が高齢者だ。第二次世界大戦直後の1947年~1949年生まれの第一次ベビーブーマーを含んでいることもあり、彼らは常に世間を引っ張ってきた自負も強いのだろう、激しく自己主張する人も目立つ。必要に迫られて変化する日常生活のあり方と衝突するたびに、激しく異議を唱える高齢者と、現役世代との摩擦について、ライターの森鷹久氏がレポートする。
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朝日新聞に、84歳の男性読者が投稿した記事がネット上で話題になっている。
未成年者へ酒類、タバコを販売しないために導入されたレジの「成年確認ボタン」について、「明らかに成年とわかる人には店員がタッチしてはどうか」「機械的でない対応を望む」といった主張がなされているのだが、これについて「老人側のエゴではないか」という指摘が相次いでいるのだ。
「同じようなクレームは日常的にあります。忙しいレジ作業の中で、いちいち免許証などの身分証明書を確認するのは非現実的です。ですが、ボタンを店員が押してしまったら、そもそも成年確認の意味がない。機械的という意見もあるようですが、効率化という言葉を知らない人たちなのでしょうか…」
こう話すのは、首都圏のスーパーチェーン店で働く店長をつとめる鈴木陽一さん(仮名・47)。効率化のための新しいシステムを拒む高齢者は年々増え続け、そればかりか値段以上のサービスを求めたり、利己的な正義を押し付ける客たちが現場を疲弊させているのだと訴える。
「エコの観点から、スーパーなどの小売店ではレジ袋の有料化が始まっています。大多数のお客様はエコバッグを持参したり、必要な場合は一袋数円でお買い上げになられますが…。特に高齢のお客様が不満を申されることが多く、その都度レジ担当がいやな思いをしています」(スーパー店長)
要するに「今までタダだったものになぜカネがかかる」というのが彼らの言い分なのだが、傍から見ればいちゃもんそのものである。なかには「そこまでしてがめつく儲けるのか」「老人からカネを奪うのか」などといった見当違いの怒りをぶつけてくる高齢者もいるというから、話し合いにすらならない不毛なやり取りが現場でなされていることも容易に理解できよう。
レジ袋の有料化は誰かのエゴの為、金儲けのためではなく環境の為だ。レジ袋有料化の条例を制定する自治体も増えている。社会の常識が変わってきたのだという前提を知らぬ高齢者たちは、自らのエゴ、自らの経済的事情を盾に、店員に高圧的に迫り、嫌味をぶつけるのだという。