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ゴーンのCEO留任でますます複雑になる日産連合の今後

◆3社連合の先行き懸念

 ゴーンが不正を行い逮捕されたことを受け、世界最大の自動車連合であるルノー、日産、三菱自動車の3社連合体制の先行きは読みづらくなった。すでに、ルノーは取締役会でゴーンのCEO留任を決め、ルノーの筆頭株主であるフランス政府も3社連合の安定性を注視していくとの立場を示している。

 ルノーには、日産が必要だ。その背景には、フランス政府の利害がある。フランス政府は、ルノーと日産の経営を統合し、EV(電気自動車)などの技術を取り込みたい。

 2015年、フランス政府は“フロランジュ法”を制定し、2年以上保有する株式の議決権を2倍にするとした。これは、政府の意向にルノー・日産連合(当時)の経営を従わせることを狙ったものだ。一方、ゴーンは合併に慎重な見解を示し続けた。それは、自らの地位を守るためだろう。

 自動車メーカーとしての実力や足元の経済環境を見ると、日産が独立した企業として事業を運営することは難しくはないだろう。今後のシナリオの一つとして日産自動車が従来以上に独立色を強めた経営を重視する展開はあり得る。

 それが現実的となれば、ルノーとフランス政府が日産自動車の株を買い増すなどして更なる影響力の確保を目指すことなどが考えられる。こうした見方は現時点で判明した情報を基に想定されるシナリオに過ぎないが、日産自動車の経営に多様な利害が複雑に絡んでいることは冷静に把握しておくべきだ。

 今後、捜査の進行とともに、3社連合にどのような変化が生じるかは注意深く見ていく必要がある。

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