もしも、もっと高性能なバッテリーが普及し、インターネットと繋がったAIがクルマを運転するのが当たり前の世の中になったとき、電動化やAIといった技術を持たない自動車メーカーは、当然のようにシェアを落とすでしょう。そのため、現在の自動車メーカーは必死になって、お金を投資して、次世代技術を研究しています。
しかし、そうした次世代技術の研究には、非常に多額の資金が必要となります。そのために、現在の自動車メーカーは、どこかの大きなグループに属して、グループとして共同で次世代技術を研究しているのです。
日産もそうでした。ルノーと三菱自動車という仲間がいるから、多額な研究費用を捻出できたのです。特に日産と三菱自動車は、電動化技術を得意としています。もしも、中国における電気自動車ブームが本格化したとしても、グループとしてのメリットを生かせれば、中国市場での大きな成長が期待できます。最近の日産・ルノー・三菱自動車の好調さは、あくまでもグループとして動けていたからというのが、大きな理由でしょう。
ところが、グループのまとめ役であったカルロス・ゴーン氏が失脚してしまいました。今後の最悪なシナリオは、グループの解体と、それによる技術の先細りです。もしも、そんなことになれば、自動車業界の大きな変化の波に乗り遅れてしまう可能性が大きくなります。まさに終わりの始まりです。
自動車ビジネスは、わずか数年の不調で、あっというまに会社が傾きます。そして、そのまま消えていったブランドがどれだけたくさんあるかというほど厳しいビジネスです。
もちろん、バラバラになってしまっては、誰にとっても不利益となるというのは、グループ内のメンバーの誰もが理解しているはず。カリスマリーダーがいなくなった後もしっかりとグループの結束力を維持できるのか。そこにグループの未来がかかっていると言えるでしょう。