ビジネス

日産の最悪シナリオ グループ解体なら技術の先細りは不可避

日産を追放されたカルロス・ゴーン容疑者

 日産自動車カルロス・ゴーン会長の「容疑者」への転落は、まさに平成史に残る大事件となった。今後、ルノーや三菱自動車とのパートナーシップに影響を及ぼせば、新たな自動車業界の再編につながる可能性もある。モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏が指摘する“最悪のシナリオ”とは?

 * * *
 日産会長であるカルロス・ゴーン氏の逮捕は、自動車業界を揺るがす大事件でした。まさの晴天の霹靂です。

 周知のように日産自動車は、1990年代に深刻な経営難に陥り、1999年にフランスのルノー傘下になりました。その経営難の日産を短期間でV字復活させたのが、ルノーから日産に派遣されたカルロス・ゴーン氏でした。

 その後、日産はゴーン氏の元で再生を遂げ、さらにルノーとのアライアンスを強化。世界市場で売り上げを伸ばしていきます。2016年には三菱自動車もルノー・日産の仲間に加わり、さらに力を蓄えます。そして、2018年の上半期は、グループ全体で過去最高の553万8530台の販売を記録。年間1000万台の大台も突破し、世界一の自動車アライアンスの実現に向けて、一歩ずつ確実に階段を上っているところでした。

 そんなアライアンス全体の指揮を執っていたのがカルロス・ゴーン氏です。ところが、今回の事件によって、ルノー・日産・三菱のアライアンスは指導者を失うことになったのです。

 最近のゴーン氏は、各自動車メーカーのトップというよりも、グループ全体を見る立場だったため、直近の各自動車メーカーの個々の動きは、それほど大きな変化はないかもしれません。しかし、カリスマ的な指導者を失ったグループ全体の未来には不安がよぎります。

 よく言われるように、現在の自動車業界は、大きな曲がり角に差し掛かっているところです。技術の進歩によって、自動運転の未来も見えてきました。ハイブリッドを筆頭に、電気自動車など、電動化も進んでいます。世界的には環境問題のために燃費規制が、どこでも年々厳しくなっています。

 また、カーシェアなどの新しいクルマの使われた方も盛んに検討されています。もしかすると、ここ10~20年でクルマという存在自体が大きく変化する可能性も見えてきているのです。

 そうした激動の時代を生き抜くために、自動車メーカーに求められるのが技術力です。新しい世の中になったときに、新しい技術を持っていないと生き残れません。

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト