ライフ

介護ぶっちゃけ鼎談、“傾聴”がほどく毒親からの呪縛

傾聴は相手を甘やかすのではなく相手の自立を促すこと

 介護の大変さは親の要介護度だけでは測れない。弱者になった親とのストレスフルな関係は忙しい子世代を悩ませ、介護をいっそうつらいものに。

 依存的な母親の介護に苦戦する40代女性の“瞬間湯沸かし器”ことミホさんと、すぐに凹んでしまうリョウコさん2人が、この苦境を乗り切るべく、「傾聴」カウンセリングで多くの苦悩を救う臨床心理士・原千恵子さんと本音トーク。

 * * *
ミホ:“傾聴”について、詳しく知りたいんですが…。

原:傾聴の根本は相手、お2人のケースでいえば、親の心を理解することです。自分が理解されたと思うと安心して相手を信頼するでしょう? すると本人は落ち着いて自分自身と向き合い、自分の中の問題の答えを、人に迷惑をかけずに自分で見つける。つまり成長するのです。

リョウコ:母が成長?? ちょっと想像できませんが…。

原:親が心の底でどう考えているかを、冷静に聞き取って分析するのが傾聴です。具体的には徹底的に本人の話を聞きます。技術の1つに反射があり、本人の言ったことをそのまま繰り返します。「寂しい」には「寂しいのね」。殺したいと言われても「殺したいと思ってしまたのね」と。反論、意見は一切口にしない。

 本人にしてみると、自分が発した言葉がそのまま返って来て向き合うことになる。こちらは鏡になるわけです。そこで親がどう反応するかを観察して心の奥を探るのです。

リョウコ:たとえば、母が理不尽なことを言っても「お母さんはそう思ったのね」と返す。「私はそう思わないけど」とか反論せずに…。

ミホ:母は自分の寂しさばかり愚痴るのですが、聞いているうちに私が母のためにすごく苦労したことを思い出して、カーッとなっちゃうんです。

原:でも、今のお母様にはあなたの苦労まで理解できないでしょう。だから怒っても無駄。一歩踏み込んで、お母様の寂しさを理解しましょうよ。

ミホ:かわいそうだとは思う。

原:その先を理解するんです。同情ではなく気持ちそのものに共感するのです。がまんやうわべの演技ではなく、共感した上で、「寂しいよね、不安なんだよね」と返す。

リョウコ:できるかな…。

原:しんどいと思います。プロのカウンセリングでも週に1回、1時間です。鏡になるのはそれだけエネルギーがいるということ。ご家族なら1日10分でよいので、親子を忘れ、カウンセラーになったつもりで聞いてみてください。親は落ち着き、子供も親の気持ちに近づく。必ず空気が変わってくるはずです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン