スポーツ

プロ野球失敗学 巨人のFA移籍に特有な困難とは

 さらに、自分の人的補償で移籍した選手が活躍でもしようものなら、もう針の筵だ。

 様々なかたちで辛酸を舐めた広澤氏は、FA移籍の際に、当時ヤクルト監督だった野村克也氏から「巨人の体質を考えたら行かないほうがいい」と反対されたという。成績の上では的中した“ノムさんの予言”について今、どう思うかを聞くと、こんな言い方をした。

「たしかに、巨人での5年間はつらかったですよ。重圧だけじゃなく、死球による骨折もあって試合に全く出られない時期も長かった。ただ、野村監督の言う通りにヤクルトに残っていても、それはそれで後悔が残ったと思うんです。どちらにせよ後悔が残るなら、FAしての後悔を選んだ。

 その結果、しんどい思いをしたけど、違うチームでプレーしたことで、野球の本質が見えてきたところもあります。もし残留していたら、ヤクルト生え抜きとしての実績にあぐらをかいて“もっと野球を勉強しよう”というモチベーションは湧かなかったでしょう。

 現役選手のキャリアとして見れば失ったものは少なくない。でも、FAして勉強できたことも多い。そこで得た知識は解説者や指導者として大いに役立っているから、今は自信を持っています」

 大物選手の大転換点となる「FA移籍」は様々なドラマを生む。浅村栄斗(28、西武)や丸には、どんな運命が待ち受けているのだろうか。

※週刊ポスト2018年12月7日号

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン