国内

起源は江戸時代の「自己責任論」 論者が分析するその姿

記者会見で「自己責任論」について問われた安田さん(共同通信社)

 ここまで世論が極端に割れることは、珍しい。内戦下のシリアで、武装勢力に拘束されたジャーナリストの安田純平さん(44才)が10月末、約3年4か月ぶりに解放されて帰国したことについての、日本社会の反応である。

 日本政府による渡航自粛要請を無視して現地入りした後、武装勢力に拘束されて多額の身代金を要求された安田さんを待っていたのは、助かってよかったという安堵の声と、激烈なバッシングだった。どちらかというと、後者の方が声が大きく、「国に迷惑をかけるな」「われわれの税金を無駄遣いするな」などという「自己責任論」が吹き荒れた。

 影響力の大きな人たちはこんな発言をした。ビートたけし(71才)は登山家が山で遭難したケースを挙げ、「成功すればいい写真や名誉を得られるけど、失敗した場合は救助隊にお金を払うでしょ? この人は失敗したんじゃないの?」と指摘。橋下徹前大阪市長(49才)はネットテレビで、「そこは結果責任で、税金を使って政府の国際テロ情報収集ユニットを使って労力をかけたんだから、帰ってきた時には『すみません、結果出せませんでした。ごめんなさい』と言うのは当然だと思う」との意見を表明した。

 一方で擁護派も現れた。ダルビッシュ有選手(32才)は「自己責任なんて身の回りに溢れているわけで、あなたが文句をいう時もそれは無力さからくる自己責任でしょう」とツイート。辛坊治郎キャスター(62才)がテレビ番組で自己責任論に対し、「こんなこと普通、議論にならないレベルの話」と指摘すれば、アルピニストの野口健(45才)は、「安田さんへの過剰な又は感情的なバッシングはこれからの報道姿勢を抑圧してしまう」とツイートした。

 渦中の安田さんは帰国後に開いた会見で、「私自身の行動によって、日本政府が当事者となってしまったことを申し訳なく思います」と頭を下げ、「自己責任」が叫ばれる日本社会の現状について「批判、検証をいただくのは当然。紛争地に行く以上は自己責任であると考えている」と述べた。

 海外メディアから「謝罪の必要があるのか」との質問が出ると、こう答えた。

「私の行動にミスがあったのは間違いないのでお詫びを申し上げた」

関連記事

トピックス

愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
イメージカット
「有名人なりすまし広告」の類に“騙されやすい度”をチェックしてみよう
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン