人は、プラスの側面を扱うポジティブな情報より、マイナス面のネガティブな情報の方が気になってしまうという傾向を持っている。そのためメディアでも、ネガティブな話題の方が視聴率につながりやすく、記憶に残りやすいといわれる。これを「ネガティビティ・バイアス」という。
あれだけ献身的に動いていた景子さんが表に出てくることもなくなり、別居報道などネガティブな情報ばかりが流れるようになった。そして元親方は引退、部屋は閉鎖。頑なな元親方の態度や理解しにくい言動は、連日のように情報番組を賑わせた。雑誌やブログなどで仲良さそうな笑顔を見せても、マイクを向けられた彼女が、直接口を開くことはなかった。口を閉ざすということは、「関わりたくない」という意思表示を感じさせるものだ。こうした状況になると、自然とネガティブな面に目がいき、バイアスが働くことになる。
元親方が普段着で姿を表しても、これまでと違って服がピシっとしていないことが多くなっていた。毛玉やゴミがついていたり、汚れていたりと、景子さんの手が行き届いていないことは一目瞭然だった。部屋の閉鎖後行われた福岡県田川市のお祭りに参加しても、すぐ近くに立ちながら2人は互いを気にすることも、言葉を交わすこともなかった。ネガティブな状況や報道に加え、服装や2人の距離感など、些細な材料が人々のネガティビティ・バイアスを強め、及川夫妻の離婚発表との差を浮き彫りにしたのだ。
そして離婚後、メディアに出てくるのも元親方ばかり。朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)に突如生出演し、「お互いの決断だった」と苦笑い交じりに心情を吐露しても、その表情はスッキリしない。
番組で元親方は、「円満な離婚はない」と語っていたが、円満に見える、円満に見せる離婚発表はあるはずだ。そろそろ、ネガティビティ・バイアスの連鎖からも「卒業」したほうがいいのではないだろうか。