ライフ

進化する検診、飲食クーポン提供や“痛くてつらい”解消も

医療機器の発展によって苦痛は減少(写真/アフロ)

 今や“うどん県”の方が通りがよくなった香川県だが、この12月から始めるユニークな取り組みが話題になっている。「検診を受けたら、飲食店の割引クーポンを差し上げます!」というのだ。

 同県は2014年の厚生労働省の調査で、糖尿病患者数全国ワースト2位という不名誉な記録を持っており、その返上に向けた活動だそうだ。

 具体的には、スマホアプリをダウンロードした上で検診を受けるとポイントが貯まるほか、「歩いた」「おやつをがまんした」の自己申告でもポイントがもらえる仕組み。県民の健康への意識を高め、少しでも生活習慣病を減らしたいという行政サイドの必死さが伝わってくる。

 実は、「健康ポイント事業」と呼ばれるこの取り組みは国の主導で4年前から始まった。医療費削減が叫ばれる今、いかに市民を生活習慣病から遠ざけさせるかが政府の重要なテーマなのだ。

 事業は香川だけでなく東京や大阪、三重など全国で行われており、検診への関心度も高まっている。しかし、それでもなお、糖尿病、脳梗塞などに代表される生活習慣病や、がんに苦しむ患者が後を絶たない。

 医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。

「そもそも検診には、『対策型』と『任意型』があります。会社や自治体で行う検診は死亡率が全体的に下がったものだけをピックアップした対策型。それだけでは網羅できない項目が多く残されているうえ、医療の検査技術は日進月歩で発展しています。自分に必要なものを選び、組み合わせて受ける任意型に目を向けるべきでしょう」

 国立がん研究センターのデータによると、がん検診の受診率は年を追うごとに少しずつ上昇している。しかし、2007年に策定された「がん対策推進基本計画」で掲げた「がん検診受診率50%以上」の目標をクリアしているのは、わずかに男性の肺がん検診(2016年)のみ。女性は胃・大腸・肺のいずれも男性より受診率が低く、胃がん検診は35.6%(同)にとどまっている。

 がん検診を受けた方がいいのはわかっているが、なかなか重い腰が上がらない理由に「検査がつらいから」という人は少なくない。

 絶食や浣腸などが必要な胃がんバリウム検査、大腸がん内視鏡など、「痛くてつらいうえに時間がかかる」ことで、二の足を踏むのも理解できる。

 しかし、医療機器の発展によって「痛くてつらい」は過去のものになりつつある。東大阪病院の消化器内科内視鏡部長・八上佳和先生が話す。

関連キーワード

関連記事

トピックス

東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
渡邊渚さんが綴る「PTSDになった後に気づいたワーク・ライフ・バランスの大切さ」「トップの人間が価値観を他者に押しつけないで…」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
ルーヴル美術館での世紀の強奪事件は瞬く間に世界を駆け巡った(Facebook、HPより)
《顔を隠した窃盗団4人組》ルーブル美術館から総額155億円を盗んだ“緊迫の4分間”と路上に転がっていた“1354個のダイヤ輝く王冠”、地元紙は「アルセーヌ・ルパンに触発されたのだろう」
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(共同通信社)
《四つん這いで腰を反らす女豹ポーズに定評》元グラドル・森下千里氏「政治家になりたいなんて聞いたことがない」実親も驚いた大胆転身エピソード【初の政務三役就任】
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン