最初はピンク映画に出るのは1作だけだろうって思っていたけど、トントン拍子で次の作品が決まり、3作目ではトシキ監督とご一緒しました。
トシキ監督の『団地妻』シリーズで「夫の帰りをビールを一口飲んで“ただ待つ”女性」を演じてる時、なかなかOKが出なかった。30~40テイクくらい練習してようやくOKが出て。トシキ監督はとにかくOKを出さずに粘る人でしたね。
佐野さんとは、俳優として何度も共演しました。とても色気のある方で、打ち上げの席であらゆる女優を口説いてた(笑い)。「お前のここがダメだ」って落とすんだけど、最後は褒める戦法で。
で、寿保監督とはなぜか仲が悪くて、飲み会で鉢合わせると毎回喧嘩してた。でも「ゆうばりファンタスティック映画祭」で、数年ぶりに再会した時、「あの時、なんであんなに喧嘩してたんだろうね」って話したので、和解かな(笑い)。
私は大学でサークルに入らなかったので、ピンク映画はまさにサークル感覚。仲間意識が強かったですね。今はピンク映画の制作本数も映画館もどんどん減ってきてるけど、いつまでもこの世界が続いてほしいですね。
●ほたる/福島県生まれ。多摩美術大学在学中より葉月蛍名義で女優活動を開始。1993年、瀬々敬久監督『未亡人 喪服の悶え』で映画デビュー。2007年に「ほたる」に改名。2013年には初の監督作『キスして。』を劇場公開。現在、35ミリ短編監督作『いつか忘れさられる』の公開準備中。
■取材・文/河合桃子
※週刊ポスト2018年12月14日号