芸能

女優・佐久間良子が持つ「耐える」ことの意義

女優にとって「耐える」とは?

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、女優・佐久間良子が、NHK大河ドラマで史上初の単独女性主人公を演じた『おんな太閤記』(1981年)の思い出などについて語った言葉をお届けする。

 * * *
 佐久間良子は一九八一年のNHK大河ドラマ『おんな太閤記』で秀吉(西田敏行)の妻・ねねを演じた。これは大河史上初の単独女性主人公となった。

「あの作品は、お受けするのをためらいました。これまで大河は男性のものばかりでしたから、そこで私が一年を通す自信がなかったんです。ただ、吉田さんという当時のマネージャーに『佐久間さん、これだけは絶対に引き受けなくちゃダメ』と言われて。

 そうして引き受けたものの、周りのキャストの方を見ると今までご一緒した人が一人もいないんですよ。この方たちと一年間どうやって和を保ち、ねねを演じていかれるのか? 不安になりました。

 そこで、最初の顔合わせの時に私から皆さんをお誘いして、食事に行って飲んだんです。東映にいた時、主演の人たちがそうなさるのを見ていたんですよ。真似たわけではないですが、一つのグループを引っ張っていくには最初が大切だと思って。

 そうしたら西田さんも泉ピン子さんも『ねねさんのためなら』と盛り上がりまして。役者さんだけじゃなくて、スタッフさんも同じです。毎回の撮影が終わるごとに食事に行って、『次はこうしよう』と話し合って。それが楽しくて。

 橋田壽賀子先生のセリフは長いので、ワンカットが終わるとみんなで車座になって稽古をしていたんですが、西田さん始めみんな阿吽の呼吸でいろんな発想が出てくるんです。それを笑い合う……という連続でした。

 現場がトラブル続きだったりすると、画面の向こうにもそういうのが伝わると思うんです。逆に、こっち側が楽しいと、そういう雰囲気も画面に出て観ている方に伝わると思います」

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