ライフ

2019年の食トレンド 郷土料理、タレ焼き肉、日替わりサロン

焼肉はタレが浸透か(写真:アフロ)

 いよいよ年の瀬、来年もうまいものを食いにいく1年にしたいものだ。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が指摘する。

 * * *
 新年を迎えるこの時期、「2018年の総括」「2019年の展望」というような原稿を書く機会が増える。原料供給に影響を与えるような災害やBSEといった社会的事象や、リーマンショックやバブル崩壊のような極端な経済的後退がなければ、「食」や「食文化」においてすべては地続きだ。

 2018年から2019年へと続く「食」のトレンドは「辺境と懐古の1年」であり、さらなる深化と細分化がなされていく1年だ。2018年の総括でも書いたように、中華やイタリアンといったメジャーな食のジャンルで、これまで日本であまり見なかった地方の料理や郷土料理を食べられる店が増えている。

 国外の郷土料理を志向する店は、都内なら城北地区や下町など比較的のどかなエリアの地元民には知られていたが、近年では港区や目黒区など城南地区から”遠征”する美食家もずいぶんと増えたし、逆に城南地区への出店も目立つようになってきた。認知が高まり、いいシェフがいれば飲食業として成立するメドがつくマーケットも確立された。

 辺境という意味では、新業態の店舗も増えている。都内だと大久保・高田馬場あたりには韓国、中国系のほか、ミャンマーなどの現地コミュニティがあり、留学生も多い。彼らにとっての”懐古”を刺激する飲食店はますます伸びていくことが予想される。じっさい、大陸の大衆中華「沙県小吃」や台湾で大人気のタピオカドリンクスタンド「CoCo都可」ブランドなども続々増殖中だ。

 またブランドやチェーンばかりでなく、個店として新疆ウイグル自治区や中央アジアの料理を出す店が都内各所に点描を打つように増えてきている。東京の辺境化はますます進み、業態は細分化し、そこで出される料理は、より現地化・深化していくはずだ。

 日本人にとっても”懐古”的な食は増えている。象徴的なのがとんかつだ。10年ほど前までは老舗の独壇場だったが、近年長く老舗で修行した職人が独立するなどして新たな業態や店舗を展開するケースが増えてきた。

 特に2018年はとんかつの新店が神宮前や中野などに続々開店。近年の新店で特徴的なのは「火入れ」。安全圏を見極めながらジューシーなロゼ色の仕上がりを目指す店が目立って増えた。懐古趣味的でありながら、実はアップデートされた皿が提供されるのが現代のとんかつ最前線なのだ。

 同様のパターンに「タレ焼肉」業態がある。バブル以降「肉は塩で食べるのがツウ」というような風潮が一部にあったが、近年タレへの揺り戻しがあり、さらに2018年の後半に相次いで、「タレ焼肉」を売り物にした焼肉店が開店した。神楽坂の新店などは一皿まるごと豪快に鉄板にぶちまけつつ、お店が焼きの面倒を見てくれる関西スタイルを採用。きちんと肉の面倒を見さえすれば、一見乱暴に焼いてもうまい焼肉が食べられる。そんな関西の焼肉文化はどこまで関東に浸透するか。

関連記事

トピックス

19歳の時に性別適合手術を受けたタレント・はるな愛(時事通信フォト)
《私たちは女じゃない》性別適合手術から35年のタレント・はるな愛、親には“相談しない”⋯初めての術例に挑む執刀医に体を託して切り拓いた人生
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左・共同通信)
《熊による本格的な人間領域への侵攻》「人間をナメ切っている」“アーバン熊2.0”が「住宅街は安全でエサ(人間)がいっぱい」と知ってしまったワケ 
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン