辺境化が進めば、調理のアプローチも深化し、伝播していく。近年で言うと象徴的なのがスパイスやハーブの使い方だ。日本人は辺境の食を通じて、パクチーや山椒などの使い方を少しずつ覚えつつある。「カレー」という言葉ではくくれないような、本格的なスパイス&ハーブを使った飲食店も増えている。
カレーと言えば、飲食店の空き時間や休日のみ営業する間借りカレー店や、フードトラック営業のカレー店が東京や大阪で人気となっている。間借り業態→狭小店の開店という流れも定着したことで、間借り業態やシェアキッチンのような業態もますます増えていくだろう。
そうした現代の飲食店やシェアキッチンには日替わりサロン化が起きている。小規模人気店は貸切営業を前提として組み立てることも多いが、貸切営業とはある意味で予約機能の外部委託化と言ってもいい。店主に加えて、幹事が集客や客のスクリーニングを代行し、幹事は人気店の席を確保できる。飲食業界で問題化しているドタキャン問題へのひとつの解答例といえるだろう。
人気の行列店では整理券とともにデポジット(前払金)を預かる飲食店も複数出てきた。ツケが効いた昭和の「常連」には世知辛く感じられるかもしれない。だがSNSにさらされ、海外を含めた一見の観光客にも対応するとなると、店側にもドタキャン客に対する自衛策は必要だ。
予約システム、サロン化、デポジット……。店と客の関係性が昭和とは比べ物にならないくらい多様になった現代では、席にたどり着くためのルートもまた多様になりつつある。こうした仕組みの変化もまた2018年から2019年にかけての飲食店のトレンドと言ってもいいのかもしれない。