また、『田中圭24時間テレビ』は色々なドラマの美味しいところを上手にオマージュした番組でもあった。ドラマが動き出すシーン1に出演した吉田鋼太郎。役柄は『おっさんずラブ』そのまんま。

 シーン7で登場した松本まりか。彼女が披露したのが、ドラマ『ホリデイラブ』で魅せた狂気のストーカー演技。そういった意味では、今年のドラマの名演をまとめて見られるお得さもあった。

 長時間に渡り、田中に触れて気づくソツとスキのなさ。クレバーで仕事ができ、誰とでもうまくやる感じ。俳優というよりも上場企業のエリート社員のような万能感。ドラマなのにも関わらず、トークゾーンまである『田中圭24時間テレビ』。シーン7では橋本マナミ、池田鉄洋、飯尾和樹(ずん)らと共に「バイプレイヤーあるある」について語り合う田中。そこでも適材適所で良いコメントを残す。

「バイプレイヤーやってるとメンタルが強くなりますよね。ロケで撮影してると、周りで見ている人が『誰コイツ、知らねー?』とか目の前で言うんですよ!」

 トークの際、「誰コイツ、知らねー?」を憎たらしい口調で表現する。いい意味で清廉潔白じゃない、バラエティ対応も完璧。

 さらに見続けてシーン19、ゲスト出演者は和田アキ子だった。ここでのオマージュは『アッコにおまかせ!』の巨大フリップ。まとめられていたのは田中の半生だ。

 半生を巨大フリップでまとめられたことで、エリート社員っぽい理由が分かった。田中は恵まれた家庭環境で育ち、幼少期のテストでは満点しかとったことのない秀才だという。また、バスケットボールでも才能を発揮し、小学校時代には全国大会で優勝。中学は偏差値76の私立校に進学している。

 これだけでもモテそうなのにイケメン、田中圭の万能感の理由はココ。いや、万能感ではなく万能な人が俳優の道を選んだと書いた方が適切だろう。

『田中圭24時間テレビ』、ドラマパートにはいる前に台本に書かれている内容がアニメーションとして流れる。視聴者はそこで演じられる内容を知る。しかし、俳優はそれをまんまやることはない。自分流にアレンジし体現、そんな演者の熱がこもった演技合戦を追うのは製作陣。普段では見られない舞台裏、そんなところが見どころか。

 万能な人・田中圭とは書いてきたが24時間も撮影され続けた結果、最後の方は明らかに狼狽していた。しかし、田中レベルで狼狽、並みの人がやったら逃げるだろう。バラエテイとドラマの2つのプレッシャーが24時間襲いかかるのだから……。

 結局、『田中圭24時間テレビ』はなんだったのか。それを考えながら見返せば、C M前になるたびに流れる「青春で123ジャンプ?♪」に答えがあった。コレ、番組のテーマ曲でもある岡村靖幸の『あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう』のサビ部分である。

 青春とは理想に憧れる時期、一昨年前までの田中にとって主役になることは憧れで。理想の追求といった部分においては、若手役者としての青春時代を過ごしていたと言える。しかし、2018年の田中は売れっ子役者となり、その目標を叶えた。2019年には更に「ジャンプ?♪」、ゴールデンタイムのドラマ主演も決まっていることだろう。

 ラストシーン、田中は「小栗旬(田中と同じ事務所)は太陽みたいに眩しい男ですよ、けど太陽は眩しすぎるとうざく感じる。いつかは勝ってやろうと思っていたけど、今年気付いたんだよね、勝てるわけないし、そもそも勝つ必要がないんだ。(中略)諦めたらスッと力が抜けて、そしたらすごいデカい仕事が入ってきたんだよ『田中圭24時間テレビ』……」と語る。

 鈴木おさむの脚本に書かれたセリフだが、田中の本音でもあると思う。そういった意味で、田中の青春は2018年で終わり。『田中圭24時間テレビ』で映されていたのは、一人の役者の成長だった。

『あの娘ぼくが24時間でドラマを撮影したらどんな顔するだろう』

 とにかくスゴい田中圭を見たい方、正月休みが暇な方にオススメしたい。

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)が犯行の理由としている”メッセージの内容”とはどんなものだったのか──
「『包丁持ってこい、ぶっ殺してやる!』と…」山下市郎容疑者が見せたガールズバー店員・伊藤凛さんへの”激しい憤り“と、“バー出禁事件”「キレて暴れて女の子に暴言」【浜松市2人刺殺】
NEWSポストセブン
WEST.中間淳太(37)に熱愛が発覚、お相手は“バスり”ダンスお姉さんだ
《熱愛ツーショット》WEST.中間淳太(37)に“激バズダンスお姉さん”が向けた“恋するさわやか笑顔”「ほぼ同棲状態でもファンを気遣い時間差デート」
NEWSポストセブン
アパートで”要注意人物”扱いだった山下市郎容疑者(41)。男が起こした”暴力沙汰”とは──
《オラオラB系服にビッシリ入れ墨 》「『オマエが避けろよ!』と首根っこを…」“トラブルメーカー”だった山下市郎容疑者が起こした“暴力トラブル”【浜松市ガールズバー店員刺殺事件】
NEWSポストセブン
4月は甲斐拓也(左)を評価していた阿部慎之助監督だが…
《巨人・阿部監督を悩ませる正捕手問題》15億円で獲得した甲斐拓也の出番減少、投手陣は相次いで他の捕手への絶賛 達川光男氏は「甲斐は繊細なんですよね」と現状分析
週刊ポスト
事件に巻き込まれた竹内朋香さん(27)の夫が取材に思いを明かした
【独自】「死んだら終わりなんだよ!」「妻が殺される理由なんてない」“両手ナイフ男”に襲われたガールズバー店長・竹内朋香さんの夫が怒りの告白「容疑者と飲んだこともあるよ」
NEWSポストセブン
WEST.中間淳太(37)に熱愛が発覚、お相手は“バスり”ダンスお姉さんだ(右・Instagramより)
《スクープ》“夢の国のジュンタ”に熱愛発覚! WEST.中間淳太(37)が“激バズダンスお姉さん”と育む真剣交際「“第2の故郷”台湾へも旅行」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト