この若者と女性の“蜂起”で民主党が下院を制したことにより、これからトランプ大統領には三つのシナリオが待つと予想される。
一つ目は、急速な影響力の低下である。これまでトランプ大統領は、民主党を「ストローマン(藁人形)論法(※議論において相手の意見を正しく引用することなく、歪めた内容に基づいて批判する一種の詭弁)」で叩くことによってプア・ホワイト(白人の低所得者層)の支持を得てきたわけだが、その化けの皮が剥がれて急失速すると思う。
二つ目は、下院における疑惑の調査・追及だ。民主党が下院の27の小委員会をすべて押さえたので、トランプ大統領の不正や嘘の疑惑を調査できるようになった。場合によっては弾劾訴追まで行く可能性もあり、トランプ大統領の動きは大幅に制限されるだろう。
三つ目は、2016年の大統領選挙にロシアが干渉した疑惑を捜査しているロバート・モラー特別検察官の最終報告で窮地に立たされること。それをめぐって政治的・外交的な駆け引きが始まり、トランプ大統領は追い込まれていく。北朝鮮やメキシコ国境の壁などの優先順位は落とさざるを得ないだろう。
いずれにしても、トランプ大統領が再選に向かってスムーズに歩を進めていくという姿は全く見えないし、新しい政策を打ち出して支持を回復できるとも思えない。だが、トランプ依存で中間選挙を戦った共和党としては、新たな大統領候補を立てるのは難しい。したがって、2020年の大統領選で共和党は苦戦を避けられないだろう。