ビジネス

隠れブラック企業 「承認欲求」を搾取するソフトな圧力とは

ソフトな形で過重労働へプレッシャーをかける企業が続出

 今年からいよいよ「働き方改革関連法」が施行され、各企業で長時間労働の是正(残業の上限設定)など対策が求められる。だが、パワハラに近い露骨な残業の強要は減っても、「ソフトな心理的プレッシャーはなくならない」とその実効性を危惧するのは、組織論に詳しい同志社大学政策学部教授の太田肇氏だ。

 * * *
 以前、こんな話を耳にした。ある若手社員が自分の健康増進のため朝6時に出勤し、会社周辺の掃除をすることにした。続けているうちに会社幹部の目にとまり、たいそう褒められたうえ、模範的な社員として社内表彰も受けた。

 彼にとって、自分のために始めたのに表彰までされると、やめるわけにはいかず、だんだんと続けることが負担になってきた。さらに、ほかの社員からは、彼を見習うように会社から圧力がかかっていると嫌みをいわれ、やがて彼は強いストレスを訴えるようになったそうだ。

 かりに日本社会特有の同調圧力を逆手に取っているとしたら、会社側の責任も小さくない。

「ブラック企業」といえば、かつては恫喝やパワハラまがいのスパルタ式管理を行ったり、残業を強要したりするような荒っぽい手法が目だった。だが、毎年「ブラック企業大賞」まで発表されるようになった今は、社員の告発が相次ぎ、ネットでの悪評にもさらされるようになり、そうしたあからさまな行為は減ってきた。

 その一方で、よりソフトな形で過重労働へプレッシャーをかける“隠れブラック企業”がたくさん存在している。しかも冒頭の例のように、表向きは社員の自発的ながんばりという形をとるだけに告発が難しく、いっそう始末が悪い。

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン