芸能

佐久間良子 頭の後ろ側にも二つ、舞台のときは目が四つある

大女優は舞台で緊張するのか

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、女優・佐久間良子が、石井ふく子演出について、舞台での緊張感について語った言葉をお届けする。

 * * *
 代表作の一つとなった一九八三年の『唐人お吉』をはじめ、佐久間良子は石井ふく子演出の舞台作品に数多く出演してきた。

「石井先生は女の情感のつけ方をよく教えてくださいました。『ここはどうしたらいいですか』と伺うと、ご自分で演じてくださるの。座り方一つにしても『こうすると女の美しさが出る』とかすべて教えてくださる。大変尊敬している先生です。

 ですから、石井先生は最初から役者が芝居を考えてくるというのがあまり好きではないんです。私も感じたものを自然と出すように心がけています。自分が『こうだ』とあらかじめ固まっていますと、現場に行って相手役の出方が考えていたのと違っていた時に苦しいですからね。割とニュートラルにして臨んでいます。

 そこで重要なのは、『間』です。相手の息との間によって芝居は全く違ってきますから。それだけに難しいんですよね。

 はじめは舞台に出るのが怖かったです。三時間なら三時間、凄い緊張のしっぱなしですから。でも、それに慣れてくると、その時の間の中でどういう芝居をするか──動きとか、目線とか──そういうことが自分の中でうまく納得できると楽しいんですよね。特に舞台の場合、毎日のことですから。毎日同じことをやっているようで、同じ芝居は二度とできないんですよ。

 まさに一期一会。セリフのやりとりにしても、その日によって違います。お互いのキャッチボールが上手くいって、間と芝居がすぽっとはまると、自分の中で気持ちいい。そういう生ならではの緊張感が楽しいですし、好きです」

 多くの芝居において、主役として一座を引っ張る「座長」のポジションであり続けている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン