国際情報

プーチン大統領が不当要求なら安倍首相は「4島返還」に戻れ

日本のみが突出して親露に突き進んでいる 代表撮影/ZUMA Press/AFLO

 北方領土が戻ってくるかもしれない──。そんな期待がメディアから漂う。だが、今はむしろ交渉するには最悪のタイミングだと、ロシア事情に詳しい名越健郎氏(拓殖大学海外事情研究所教授)は指摘する。

 * * *
 日露平和条約締結を悲願とする安倍晋三首相は遂に、歯舞、色丹の2島引き渡しをうたった1956年の日ソ共同宣言を基礎に決着させることを決め、ロシア側との本格交渉に入る。

 平和条約を結ぶ切迫性もないのに、なぜ急ぐのか。面積で4島全体の93%を占める国後、択捉を放棄していいのか。平和条約締結は政権のレガシー(遺産)狙いではないのか。突っ込みどころは満載なのだが、首相はプーチン大統領と交渉の枠組みを決め、2019年6月の大統領訪日時に平和条約基本合意を目指す意向という。3年を切った自らの任期から逆算して、このタイミングしかないと踏み切ったのだろう。

 だが、安倍首相は任期中の締結を急ぐあまり、交渉をめぐる内外の環境を十分勘案していない。日露交渉を本格化させるには、ロシアを取り巻く環境は最悪である。特に、欧米が対露非難を強める中、日本の融和姿勢が突出している。

 2018年11月末に起きたロシアによるウクライナ艦船拿捕事件も、欧米とロシアの対立を激化させた。

 日本を含むG7(主要7カ国)外相は艦船拿捕に「深刻な懸念」を表明し、ロシアによるクリミア併合を改めて非難した。北大西洋条約機構(NATO)はクリミア周辺への偵察飛行を開始、黒海への海軍プレゼンスを拡大している。ウクライナ東部では数カ月前から、ロシアが支援する親露派武装勢力とウクライナ政府軍の武力衝突が続いており、ウクライナ危機が再燃する気配だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
「『あまり外に出られない。ごめんね』と…」”普通の主婦”だった安福久美子容疑者の「26年間の隠伏での変化」、知人は「普段通りの生活が“透明人間”になる手段だったのか…」《名古屋主婦殺人》
NEWSポストセブン
兵庫県知事選挙が告示され、第一声を上げる政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。2024年10月31日(時事通信フォト)
《名誉毀損で異例逮捕》NHK党・立花孝志容疑者は「NHKをぶっ壊す」で政界進出後、なぜ“デマゴーグ”となったのか?臨床心理士が分析
NEWSポストセブン
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン
「第44回全国豊かな海づくり大会」に出席された(2025年11月9日、撮影/JMPA)
《海づくり大会ご出席》皇后雅子さま、毎年恒例の“海”コーデ 今年はエメラルドブルーのセットアップをお召しに 白が爽やかさを演出し、装飾のブレードでメリハリをつける
NEWSポストセブン
昨年8月末にフジテレビを退社した元アナウンサーの渡邊渚さん
「今この瞬間を感じる」──PTSDを乗り越えた渡邊渚さんが綴る「ひたむきに刺し子」の効果
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
「秋らしいブラウンコーデも素敵」皇后雅子さま、ワントーンコーデに取り入れたのは30年以上ご愛用の「フェラガモのバッグ」
NEWSポストセブン
八田容疑者の祖母がNEWSポストセブンの取材に応じた(『大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会』公式Xより)
《別府・ひき逃げ殺人》大分県警が八田與一容疑者を「海底ゴミ引き揚げ」 で“徹底捜査”か、漁港関係者が話す”手がかり発見の可能性”「過去に骨が見つかったのは1回」
愛子さま(撮影/JMPA)
愛子さま、母校の学園祭に“秋の休日スタイル”で参加 出店でカリカリチーズ棒を購入、ラップバトルもご観覧 リラックスされたご様子でリフレッシュタイムを満喫 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、筑波大学の学園祭を満喫 ご学友と会場を回り、写真撮影の依頼にも快く応対 深い時間までファミレスでおしゃべりに興じ、自転車で颯爽と帰宅 
女性セブン
クマによる被害が相次いでいる(getty images/「クマダス」より)
「胃の内容物の多くは人肉だった」「(遺体に)餌として喰われた痕跡が確認」十和利山熊襲撃事件、人間の味を覚えた“複数”のツキノワグマが起こした惨劇《本州最悪の被害》
NEWSポストセブン
近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン