銀行の無人出張所で、ATMを利用する顧客の暗証番号を盗み撮りする目的で機械の前に隠しカメラを設置、その機械に顧客を誘導するために、別の機械を1時間半以上も使い続けた犯人がいました。
この犯人に対し、住居侵入の罪のほかに、盗撮目的を隠して普通の入出金や振込等を行なう一般の利用客のように装い、他の客が利用できないようにしたことを「偽計を用いて銀行が同現金自動預払機を客の利用に供して入出金や振込等をさせる業務を妨害するものとして、偽計業務妨害罪に当たる」と判断した裁判例があります。
宅配ボックスのロックのイタズラを偽計とまでいえるのか疑問はありますが、普通に宅配便が配達されたように装いながら、長期間マンションの管理組合の業務を妨害していたことになります。そこで「イタズラでロックをすると、管理組合の管理に対する偽計業務妨害になり、3年以下の懲役で処罰されます」といった警告文を掲出するのが適切でしょう。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2019年2月1日号