「クロさんは『撮りたい映画はいつも30本くらいある。でも、どの1本をやるか俺が決めるわけにはいかない。旬じゃない時に表現者がいくら表現しようとしても無駄だよ』といってました」
年内公開予定の新作映画は、現代の若者がタイムスリップし、原爆投下直前の広島にやってくるという内容。現在、編集作業に日々取り組んでいる。
「体調を考えて仕事は昼から夕方6時ごろまでと思っていても、気づくと11時になっていたりします。病気になっても、ここまで生きてきた意味を考えると、戦争を知る最後の世代としてその悲惨さを伝える責務を痛感します。まだまだ撮りたい映画がたくさんあって、死んでいる暇はないんです(笑い)」
大林宣彦はどんな状況でも、ただひたすら前だけを向いている。
■撮影/佐藤敏和、取材・文/岡野誠
※週刊ポスト2019年2月1日号