「大腸内に発生した腫瘍と接触した便に、肉眼ではわからないほどわずかな血液が付着することがあります。これを検知するのが便潜血検査で、1日の便を採取する『1回法』と、精度を高めるために2日間の便を採取する『2回法』があります」

 厚労省は大腸がん検診として「便潜血検査」を推奨度が最も高いグレードAと定めており、2016年度に自治体でこの検査を受けた人数は524万人に上る。「陽性」が出ると、再検査や精密検査が求められる。

 しかし、便潜血検査で「陰性」と判定されたからといって、がんを発症していないわけではない。先の都内在住65歳男性はまさにその典型的なケースだ。

「便潜血検査では、3割強の大腸がんに陰性反応が出るという研究結果があります」

 そう指摘するのは、宮崎善仁会病院消化器内科の押川勝太郎医師だ。つまり3人に1人の割合で大腸がんが“見落とされている”ということだ。

「大腸がんは、大腸粘膜の表面にある細胞から発生します。中でも多いのは、良性である『腺腫性ポリープ』ががん化するケースですが、このタイプは、ある程度の大きさにならないと出血しないため、便潜血検査では発見できず、検査結果が『陰性』となることがあります」(押川医師)

 前出の男性が毎年受けていたのはこの「便潜血検査」だったため、発見が遅れた可能性があるという。

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