「腹部の右半身側にある『上行結腸』は小腸に近く、水分の多い便が運ばれてくるため、腫瘍と便が接触しても出血しにくい。たとえ出血があっても、その後に腸内を通過する過程が長いため血の出た痕跡が薄まり、便潜血検査では検知が難しくなります。そのため進行したがんでも1~2割を見逃すといわれます」(押川医師)
検体採取を受診者が自ら行なうことも、発見のネックとなりやすい。
「便潜血検査では、排泄した便の表面をまんべんなく擦る必要があります。しかし、“ちょんちょん”とつつくように採取してしまうと、便に含まれる血液まで付着しないことがあります」(豊島医師)
そもそも便潜血検査は、「がんの有無」を確定するための検査ではないという。
「便潜血検査は、“大腸がんを効率的に見つけ出すための検査”で、最初からがんを見逃すリスクを織り込んでいる。検査が『陰性』だからといって、必ずしも大腸にがんが存在しないわけではありませんし、一方で『陽性』が出ても痔などが原因であったりするケースも珍しくないのです」(押川医師)
※週刊ポスト2019年2月8日号