ステージII・IIIで切除手術のみの場合、自己負担額は20万~30万円台だが、切除手術と抗がん剤治療を組み合わせた例では、50万円台と高額になり、治療費総額に30万円以上の差が生じてくる(表参照)。「がん治療費.com」を運営する笠井篤氏が語る。
「一度の切除手術を行なう場合は手術代に高額療養費制度が適用されて自己負担額が少なくなりますが、抗がん剤治療は長期間にわたって治療を続けることになるので、自己負担額が大きくなる傾向があります」
切除手術の後に抗がん剤治療を施すケースに加え、「ステージIII以降だと、先に抗がん剤治療をして、がんの病巣を減らしたうえで手術を行なう『術前抗がん剤治療』を施すことも多くなっている」(がん難民コーディネーターの藤野邦夫氏)という。そうした場合も、高額療養費制度が適用されるかどうかと治療期間によって負担額が左右される。
同じくステージII・IIIの肺がんで、放射線治療だけを行なうケースも見てみると、その場合の自己負担額は約35万円となっている。
「高齢などの理由で切除手術に耐えられない患者には、身体への負担が少ない放射線治療を行ないます。放射線を複数回照射したり、抗がん剤と放射線を併用する『化学放射線療法』は、治療が長期間、複数回にわたるため自己負担額は積み重なることになります」(医療経済ジャーナリストの室井一辰氏)
※週刊ポスト2019年2月15・22日号