国際情報

欧州随一の親日国、ポーランドで語り継がれる日本の孤児救出劇

2002年、天皇皇后両陛下のポーランドご訪問時に、熱烈に歓迎する地元の人々 代表取材

 ヨーロッパ随一の親日国といって過言ではないポーランド。両国の絆はソ連の共産主義の前にも揺らぐことがなかった。ジャーナリスト・井上和彦氏がレポートする。

 * * *
 バラの花が咲き乱れたワジェンキ公園には、ポーランドが生んだ偉大な作曲家フレデリック・ショパンの銅像が建ち、横にはピアノが置かれていた。これからピアニストによる野外演奏が始まるのだ。しばらくすると人々が公園に集まりだし、ショパンの流麗な楽曲が流れると、人々はその演奏に聴き入った。

 ポーランド人から愛され続けるショパンその楽曲の中でも「革命」はポーランドの悲哀の歴史を物語っている。この曲が生まれたのは、ポーランドがロシアからの独立を勝ち取るため武装蜂起した最中の1831年のことだった。

 ヨーロッパの中央に位置し、ロシアとドイツという大国に挟まれたポーランドは、隣接する大国に国土を分断され、あるいは戦場となって蹂躙されてきた。第二次世界大戦後は、意に反して共産主義独裁国家ソ連の陣営に否応なく組み込まれ、約半世紀にわたり共産主義の弾圧に苦しんだ。

 そんなポーランドは、ヨーロッパ一の親日国家であることをご存じだろうか。その理由の一つが、第一次世界大戦(1914~1918年)末期の「シベリア出兵」時のある出来事にある。

 当時、ロシア革命に干渉すべく、日本、米国、英国、フランスらの連合国がシベリアに出兵した。日本は、兵力7万3000人と戦費10億円を投じ、約3000人もの戦死者を出した。だがその結果として、日本がシベリアで孤立した765人のポーランド人孤児を救うことができたのである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン