◆富裕層の増加と大学入試の変化が要因
だが、この間、中学受験の保護者の多数派がサラリーマン層になり、自営業者が大きく減少するにつれて難関大学志向が強まり、難関大学に大勢送り込む進学校へと保護者の選択が変わった。女子でも生涯働くことを視野に入れた教育姿勢の学校を選択するようになった。
御三家と言われる学校群はいずれも進学校であるので、こうした志望の変化の影響は受けていないが、学校が大学受験態勢をとっていない「お坊ちゃん・お嬢さん学校」は少しずつ敬遠されてきた。
それが2019年に増えた要因としては2つのことが考えられる。
◆高級外車の売り上げ5年で3倍
わが子の学校選びを外車の購入になぞらえるのは不謹慎かもしれないが、似たような心理状態を感じる。日本経済新聞の記事によると、「2018年に販売価格が2000万円以上の超高級車の販売台数が2013年比約3.1倍になった(日本自動車輸入組合調べ)」という。実際に街を歩くと、こうした車の販売店舗も増えていることに気が付く。もちろん背景には富裕層人口の増加がある。
お受験もそうだが、上記のような学校は経済的にはもちろん心理的にも余裕がある家庭でないと選べない。昨年末、東京都生活文化局から「平成31年度 都内私立中学校学費一覧」が発表されたが、これらの学校はどこも初年度納付金が110万円以上である。
サラリーマン家庭ではどうしても企業社会でのポジションの上昇を目指す発想になるので、上記の学校は苦戦にならざるを得なかった。だが、ここへきての余裕のある富裕層人口の増加がこうした学校の志望者増の根底的な要因だと考えていいだろう。