「わかっとる。それに踊らされるわしやない」
インタビューの日は、ユーチューバーへの転身を取材しようと、テレビ番組の取材が殺到していた。いざカメラが回れば、日本ボクシング連盟の現体制への不満が爆発し、つい声を荒らげてしまう。
「そういえば、今日の収録中に競泳の池江璃花子選手に対する激励メッセージを求められた。18歳の女子が白血病になるなんて、お気の毒なことや。だけどね、会ったこともない彼女に、どうして見ず知らずのわしが軽々しく言葉をかけられますか? 池江選手に対して、それはあまりにも失礼や。だから断りました」
現在(2月15日時点)のチャンネル登録者数は約5000人で、最初の動画の視聴回数は、約5万5000回に伸びている。今後は、旅動画やパロディ動画もアップロードしていくつもりだという。
「登録者数を増やしたい気持ちはある。それによって収益を得るというよりは、世界中にいるアマチュアボクシングの仲間にわしが元気であることをアピールしたい。既に、韓国では翻訳ソフトを使って、動画を観てくれているみたいや」
さらにVシネマへの出演依頼も届いている。役柄は、「日本の裏社会を牛耳るボス」だという。
■取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)