芸能

『後妻業』の木村佳乃 大阪弁は及第点もテンション高すぎか

大阪人からはどう見えているか(番組公式HPより)

 方言を扱う作品は、ネイティブか非ネイティブかによって評価が二分されてしまうことがよくある。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 連続ドラマも折り返し地点。「今期は大人を満足させるドラマが少ない」という嘆きの声もちらほらと聞こえてきます。スタート当初、中高年世代から熱い期待が寄せられたドラマ『後妻業』(フジテレビ系火曜午後9時)はどうでしょうか?

 主人公は遺産相続目当てに資産家老人を狙う結婚詐欺・後妻業の女=武内小夜子。演じるのは木村佳乃さん。小夜子は真っ赤なコートにヒョウ柄スカートのコテコテ大阪女。顔一面パックしたスッピン姿はもはやホラー感すら漂い、ジェイソン(『13日の金曜日』)を連想させました。美形の女優がここまでやるか、というぶち切れ感は凄いものがある。

 そしてドラマは中盤にさしかかり、評判に変化が見てとれるとすればそれは……?

 当初、最も注目された点は木村さんの大阪弁でした。言葉巧みにジジイを騙す悪女の物語だけに、東京・世田谷区出身の木村さんの大阪弁には正直、一抹の不安もあった。ご本人も「できる限り練習をし、ネイティブの方に及第点をいただけるまでは頑張りたいと思っています」と意気込みを語っていたほど。猛練習を重ねたとか。

 そこで関西人に木村さんの大阪弁の感想を聞いてみると……「ほとんどヘンに思うところはない」「イントネーションに問題なし」。想像以上に高い評価で驚かされました。特訓の成果なのか、「ネイティブの方に及第点をいただける」水準に達しているもよう。

 いや、問題はむしろ別のところに潜んでいそうです。

 小夜子はやたらテンションが高い女。大口を開けて笑い、煙草をくわえて吼える。「あまりに高いテンションに違和感あり」と大阪人は指摘するのです。

「関西人=テンション高い、と一般的に思われてるのかもしれないけれど、普段は押さえて低空飛行している人、いっぱいおるで。やり過ぎると不自然になる」

 なるほど。関西人=やたら高いテンションというのは、関西をよく知らない人の身勝手な固定概念、いわば偏見かも。ハッとしました。江戸っ子の私にはとうてい気付くことのできないポイントです。

「いくら大阪のオバチャンでも、あそこまでテンション高い人はなかなかいない。ドラマの中で関西スタンダードといえば、やはり濱田マリ(小夜子の妹・尚子役で登場)。普段話す時は低い声で、時々妙に高いテンションになるのが自然」

 なるほど。木村さんの入りっぱなしのスイッチに問題がありそう。ファッションもド派手です。ショッキングピンクにヒョウ柄、毛皮に総レースにサングラスで歩いている人なんて、今どきいるか。ゲスな大阪人になろうなろうとテンパりすぎかも。

 役作りにおいてやり過ぎは禁物で引き算が大切、という教訓かもしれません。

「主人公だけはせめて関西出身の役者を使ったらよかったのに」という声も聞かれました。では、いったい誰なら小夜子役にぴたっとハマるのか?

「藤山直美あたりに主演してほしかったわ〜」「いや、尾野真千子やろ」「転落して陰りのある藤原紀香なんかどう?」

 と好き放題、無責任に放談できるのがテレビドラマの楽しみであり大きな魅力でしょう。

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン