祖父は團伊玖磨さん、父は團紀彦さんという華麗なる一族
團:もともと祖父の團伊玖磨が、ちょうど60年前、両陛下のご成婚のときに『祝典行進曲』を作曲したというご縁が最初だと。そこから交流が深まり、両陛下は、祖父のコンサートに時々来てくださっていたそうです。葉山の御用邸と祖父の自宅はすぐ近くだったから、祖父の自宅にいらっしゃることもあった聞いたことがあります。陛下だけではなく、皇太子さまも、祖父の自宅にお忍びでいらしたことがあるようです。
――皇太子さまと雅子さまのご成婚の際にも、おじいさまは『祝典行進曲』を送られていますね。ところで、今回、團さんにお話を伺うにあたり、團さんの家系図をネットで調べてみたところ、伊玖磨さんの母・美智子さんのお父さまである上野季三郎氏は、宮内省大膳頭(※天皇の毎日の食事をはじめ、供御および饗宴など宮中の料理を司る役職)を務めていらしたかた。おじいさまが両陛下に『祝典行進曲』を作曲されるずっと前から、團さんの一族と皇室は、深いご縁があったようですね。
團:そうなんですか! まったく知りませんでした。私、このお仕事を始めるまで、自分の家系についてや親戚がどんな仕事をしているのかなど、わからなかったんです。芸能界にデビューしたあと、私のウィキペディアができて、そこの「家系欄」をみて、自らのルーツを勉強したというくらい何も知らない。
母は、家系の話とかも一切しないし、祖父が『ぞうさん』の作者だということも小学校に入って、周りから「おじいちゃん、すごい人なんだね」と言われて初めて知ったんです。祖父が音楽家だからといって、楽器を習うように強いられたこともなかったです。ただ、1つだけ團家に代々伝わる”家訓”として口を酸っぱくして言われていたのは、「一代一職業」ということ。
一代の成功は一代限り。團家のコネクションには頼らず、親と違う分野で一番を目指さなければいけないといわれています。”親の背中に負けるな”ということですね。だから私も父や祖父に負けないように、女優として一生懸命がんばっていきたいと思っていますし、父も応援してくれています。ただ、「結婚するときは源頼朝みたいな強い男を連れてこい」と言われたときは、困ってしまいましたが…(笑い)。
――お父さまの紀彦さんはどんなかたですか?
團:父は、ものすごい歴史マニア。部屋の中は歴史の本だらけで、さらに、毎週、何冊も本が届くんです。私たちにいろいろ歴史の話をしようとしてくれるんですけど、「中国の騎馬民族が…」とか、内容がマイナーすぎて、誰もわからない。申し訳ないんですけれど、話が始まりそうになると、家族はそっとその場を離れてしまいます(苦笑)。そんな父からいつも聞いているのが、「陛下はいろいろな知識を持っていて、誰よりも、本当に何にでも詳しい」という話。父が歴史について、何か、少しでも陛下にお話しすると、「ああ、この時代のことですね」と。本当にお詳しくて「ああ、あのときのあれですね」と、すぐおわかりになるそうです。
――そういった、専門的な歴史のお話ができるということが、両陛下が今も團さんご一家とお会いになっている理由なのではないでしょうか。