じつは梁氏とA氏は、もともと太平洋戦争犠牲者遺族会の同志だったという。遺族会関係者がいきさつを明かす。
「アジア女性基金が元慰安婦に償い金を渡す事業を始めたときに、受け取った元慰安婦に『日本の汚いお金は返しなさい!』と脅して回ったのがA氏でした。1996年に遺族会に日本政府から1億円の慰霊費用を出す計画があったときも、A氏は『日本は信用できない』と大反対して潰してしまった。A氏は運動圏に寝返ってしまった人間で、遺族会にとっては裏切り者といえます」
日本企業相手の徴用工裁判の原告が少ないのも、A氏のこうした行状が遺族などの間で不信感として広がっているからのようだ。再び梁氏に聞いた。
──民族問題研究所等の市民運動家たちについてはどう考えているのか?
「日帝時代を知らない運動家たちが反日の声をあげているのを見ると、いったい彼らは何を知っているのかと思ってしまう。運動圏が被害者活動を乗っ取ってしまったことで、遺族会はバラバラに分裂してしまい被害者の声が届き難くなってしまったという現実がある。どこが民族のための活動なのか、と私は言いたい」
そして、文大統領への評価も辛辣なものだった。
「文大統領の周りはチュサパ(主思派)で固められています。チュサパは北朝鮮よりも強い主体思想(金日成が提唱した独自の社会主義理念)を持つ人たち。彼らは歴史問題にも強い影響力を持つ。だからこそ、日本政府主体の解決を目指してほしいと、私は訴えているのです。