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美智子さまが火をつけた『ジーヴス』はその後すごく売れた

美智子さまもお持ちの『ジーヴス』シリーズ

美智子さまもお持ちの『ジーヴス』シリーズ

 2018年10月、美智子さまは誕生日に際して発表した文書に次のように綴られた。

〈読み出すとつい夢中になるため、これまで出来るだけ遠ざけていた探偵小説も、もう安心して手許に置けます。ジーヴスも2、3冊待機しています〉

『ジーヴス』とは、イギリスの作家P・G・ウッドハウスの探偵小説に登場する執事の名。イギリスでは、シャーロック・ホームズに匹敵する人気キャラクターだ。

 文庫2冊に選り抜いた文藝春秋版は「美智子さまの文書が出てから実売で2冊合計16万部以上を売り上げた」(同社プロモーション部)。国書刊行会のシリーズ全14冊も「(文書発表後)1か月でシリーズ合計3万部を増刷しました」(同社出版局長・礒崎純一氏)という。

 2007年、ヨーロッパ訪問に際しての記者会見で、美智子さまは、「もし身分を隠して1日を過ごせるなら」という質問に、「学生のころよく通った神田や神保町の古本屋さんに行き、もう一度長い時間をかけて本の立ち読みをしてみたいと思います」と答えていた。

 昨年5月、両陛下は映画『羊と鋼の森』の特別試写会に出席した。美智子さまは、鑑賞前に同名の原作小説も読んでいたという。

 同作は、鍵盤調律師が主人公。幼少期からピアノに親しみ、今でも陛下のチェロと一緒にピアノを演奏することもある美智子さまにとっては、音楽に親しんでこられた日々と重なる感慨があったのかもしれない。

※週刊ポスト2019年3月22日号

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