「免疫細胞の殺菌成分を高純度活性化した水」──といったキャッチフレーズで、様々なメーカーや歯科医院が売り出している。共通しているのは「次亜塩素酸」を主成分としていることだ。
日本歯周病学会は、約10年前に「次亜塩素酸」を使用した水による歯周病治療がテレビで取り上げられたことを受け、安全性、有効性などの科学的根拠が十分ではない、と見解を示した。それから新たな臨床試験が行なわれた痕跡はない。
◆本当は“特別な治療”はいらない
それでは、有効な歯周病治療とは何なのか、前出・弘岡氏に聞いた。
「歯周病は、歯に付着した細菌の塊であるバイオフィルム(プラーク)によって引き起こされる感染症です。重度でなければ、患者の正確なセルフケアと、SRPと呼ばれるプロ(歯科衛生士)によるバイオフィルムを除去する基本的な治療で改善します」
弘岡氏によると、歯周病が治りづらい原因の一つが、正しいセルフケアを患者がマスターできないこと。歯間ブラシ、フロスは、我流でやってもプラークは落ちないのだ。
◆セルフケア指導は必須
歯周病治療に詳しい歯科衛生士の太田由美氏が中高年男性のセルフケアに起きがちな勘違いを指摘する。