国内

戦前は日本一の地主だった天皇家 現在の皇居は“借家”

皇室ジャーナリストの神田秀一氏

 退位に伴い、三種の神器をはじめ、宮中祭祀に使われる太刀や屏風などの品々が、現陛下から新天皇陛下に引き継がれる。昭和天皇崩御の時には約20億円の遺産があったが、退位の場合、財産はどのように継承されるのか。そもそも皇室にはどのくらいの財産があるのか。皇室ジャーナリストの神田秀一氏が解説する。

 * * *
 戦前の天皇家は日本一の地主とも言われ、皇居、赤坂御用地、鴨場、陵墓、御料牧場などを合計した保有土地面積は長野県に匹敵するとも言われた。

 現在、皇室関連の土地は、天皇皇后両陛下がお住まいの皇居(約115万平方メートル)、東宮御所や秋篠宮邸がある赤坂御用地(約51万平方メートル)、京都御所や3つの御用邸(葉山・須崎・那須)などがあるが、すべて国有財産だ。終戦後、憲法88条によりすべての不動産は国に移管され、皇室に供される「皇室財産」となった。天皇をはじめ皇族方のお住まいは、国から借りている“借家”ということになる。

 そのほか皇居や御用邸に関連する皇室財産に、「船舶」と「地上権」がある。「船舶」は皇居の内堀で作業に使用する船だ。「地上権」は、例えば一般車両が通行できるようになっている那須御用邸の一部の道路である。見た目は地方公共団体の道路だが、土地は宮内庁所管で賃料はとっていない。

【PROFILE】神田秀一●1935年東京生まれ。テレビ朝日にて1978年から宮内庁担当記者。1995年に退社後、フリーの皇室ジャーナリストとして活動。著書に『心に響く皇室の所作』(辰巳出版)がある。

取材・構成■祓川学(フリーライター)

※SAPIO2019年4月号

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン